お盆前につらつら

 長い間書いていないと気になっていたら,やっぱり1ヶ月半経過である。
 この間,様々な事件が起こり,いや次々と起こりすぎて,受けた印象がすぐに希薄になってしまう。
 昨日は橋本元総理の葬儀に参列した。8年前,比例区総理枠で参院議員に当選したときの総理である。毀誉褒貶様々だが,私自身は非常によくしてもらって,いい思い出ばかりだ。御冥福をお祈りする。

 お陰様で,事務所を始めて満2年が経つ。
 依然,稼ぎは自分ひとり食べていく分には十分(つまり,弁護士を雇うなどにはほど遠い!)というレベルで,大して忙しくはないのだが,これに大学があり,加えて最近は,〇〇を紹介してほしいだの〇〇をしてほしいだの,様々な頼まれ事が重なり,かなり忙しい。中には気が重いものやら,大金を積まれて?筋悪事件の依頼もある(もちろん丁重にお断りすることになる)。それらもすべて,こんな経験をさせてもらってありがたいと気持ちを切り替えると,ストレスがうんと減ることも経験上分かっていることである。

 大学は7月末までばっちり補講に通い,8月1日が前期試験だった。
 昨日ようやく約700枚!の採点を終え,かなりほっとしている。
 論述式1題のスタイルにしているのだが,前年度より採点に時間がかかったのは,今年度から「すべて持込み可」とした故であろう。やたらの長文が多いのは,なんでも書いておけば点になるという腹らしい。だが余事記載は減点の対象となり,すっきり短くまとめたほうがよほど高得点になることも,今後伝えることにしよう。
 今日は新潟に出張(裁判),11日(金)は初めて弁護士会で法律相談をする。終えると来週一杯,お盆休みである。

 実は私はお盆は休めない。仕事ではなく,ピアノの故だ。16日,発表会に出るのである。30年ぶりのこと。500人収容の大ホール。加えて私以外の出場者はプロ,しかも音大云々はもちろん国内外コンクール入選者が多数を占める。曲目はベートーベンのテンペストソナタ3楽章である。
 自宅での練習は午前9時から午後8時までなので,毎日調整に頭をひねっている。貸スタジオを借りることも結構ある。防音室を設けるといいのだが,賃貸であることに加え,それをすると,好きだからつい夜中遅くまで弾き,いずれ健康を害し,仕事にも差し障るだろう。第一は仕事,次が趣味。その優先順位は不動である。

 大学時代からの親友が,体調を壊した。胸に水がたまっているとのことで検査入院をし,診断は結核。肺ガンでなかったのは幸いだったが,しばらくは自宅療養である。元を辿れば働き過ぎ,過労があった。私も気を付けなければと,改めて思う。近頃は医者にもよく行く。やはり自分で安易な判断をせずにプロにまかせるのはいいことだと思う。

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執筆「偶然がなさしめた職業遍歴。面白い人生を歩める感謝を込めて。」

 7月末で、国会議員をやめてちょうど2年になる。つまり、弁護士業を始めて、2年。
 今だから言うが、始める前は大いに不安もあった。ひとつは弁護士業務への不安。もうひとつは、経営者業務への不安。どちらも私には初めての経験になる。
 長い間検事をやっていたから刑事事件は大丈夫だが、民事事件はそのうちの2年、国の代理人として大きな事件に携わっただけだ。大学時代は民法を専攻していたし、適性は未だに民法のほうにあると思っているが、そうした基本法さえ昨今はどんどん変わる。加えて、実務は、法律や判例の知識や理論だけでは動かない。
 だが、同業の友人らは「そんなことはすぐに慣れるから心配がないよ」と言う。それよりも、事件が来るかを心配すべきだと。だから、最初は堅実にどこかの事務所で働くべきだと言うのである。
 しかし、切りよく後半生に切り替えた私としては、自分のペースで過ごせる、自分の事務所でなければ意味がなかった。最初から独立開業の選択肢も「無謀」とは思わなかった。なんとかなると思っていたのだ。
 そして実際、本当にありがたいことには、なんとかなっているのである。口の悪い向きには、弁護士をやるために国会議員になったのだ、とまで言う人がいるが、まさか。
先日、親しい女性弁護士に言われた。「検事のうえに国会議員なんて、いくらお金を積んだからって出来るものじゃなし、すごいことよ」。たしかに、この経歴は、本業に役立つばかりか、今や役職は優に10を越える。無償のものが多いが、人から必要とされるのは嬉しいことである。
弁護士業務への心配は、友人らの言どおり、杞憂に終わった。法律家の基本は同じなのだ。人の話をよく聞き、書類を検討し、事案を見極めること。もっとも弁護士業には、これに独自の難しさが加わる。以前にも書いた、依頼者との距離感の取り方。そして、お金の取り方。始めて1年くらいしたときに友人にそう言うと、「へえ、もう分かった? 早い」と感心された。それももちろん、年の功、経験であろう。
、女子学生が言う。「先生って、職を転々としているのね」
「それはちょっと日本語が違うんじゃない(笑)」
 そう、たぶんに偶然がなさしめた職業遍歴なのだが、面白い人生を歩ませてもらっていると思う。
 開業2年を機に、皆様方にもただ感謝である。

自由民主党月刊女性誌
『りぶる』

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執筆「限られた時間をどう使い,優先順位をつけるか。 生き方上手とは時間の使い方が上手ということ。」

 あれっと気がついた。いつの間にか携帯メールをしなくなっている!
 5年前、携帯メールを始めた。会議中、通話せずに用件を伝えられて便利だよと教えられたのだ。以後、秘書あてに「長引きそう。〇〇はキャンセルして」とか、待ち合わせ相手に「ごめん、10分遅れる」とか、実に優れた効果を発揮した。
 まもなくチャットをするようになった。パソコンと違って、指で一つ一つ打つから面倒だが、慣れればどうということはない。どころか、無味乾燥なパソコンメールとは違い、多種の絵文字が使えて楽しいし、電車の中やちょっとした空き時間に、軽いお喋りをする乗りで打てる。同じメールを複数に送信するのも簡単だ。まさに、手軽なチャット。だからこそ、手紙を出すときには返信など期待しないのに、メールだと返信は当然なのである。
 誰もが気軽にメル友になるこの時代、隣りに座って黙ってメールを打ち合うカップルが変だとか、歩行中のメールが危険だと感じる以外は、もはや見慣れた光景でしかない。
 それなのに、私はなぜ携帯メールをやめたのか。ピアノに熱中しだした時期と重なるから関係があるのだろうとは思うが、過去にも漫画やファッション雑誌や着物や宝石など、熱中していたのにいつとはなく止んだものがいくつもあるから、単にそうした潮時だったのかもしれない。
 面白いというか当然というか、自分が打たなくなると、人からもさっぱり来なくなり、かくして携帯メールチャットの習慣は消えた。今思えば、よほど他にすることがなかったようでもあり、恥ずかしい。
考えれば、これは一例なのである。生活を見渡すと、なければないで済むものがいくつもある。
 例えば、テレビ。もともとあまりテレビを見なかったのだが、携帯メールに合わせるように、最近はとんと見なくなった。当然「今」には遅れるが、新聞は丹念に読んでいるから、さして困ることはないと気がついた。携帯電話で常にニュース配信を追っている知人がいるが、それが単なる趣味を超えて、常に「今」が気になるとしたら、もはや中毒であろう。手段と目的を間違えてはいけない。手段に振り回されては、なんのための便利さか分からない。
 世の中が変わっても、人の本質は変わらない。持ち時間は同じ。限られた時間を、何に、どう使うか。優先順位は何か。生き方が上手な人というのは結局、時間の使い方が上手な人のことを言うのかもしれない。そんなことを思わされる。

自由民主党月刊女性誌
『りぶる』

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山口県光市の事件に思うこと

 検事時代,強姦事件を数多く扱った。強姦と一口に言うが,その内容は実に様々である。
 顔見知りの間でのあまりぱっとしない告訴事件から,凶器を準備して家に押し入っての連続強姦魔まで。
 強姦に対して世間には大きな誤解がある。性欲が溢れる若さなのに恋人がいないから,あるいはお金がないから風俗に行けなくて……代償行為として強姦に走ったのだと。
 誤りである。スリがお金のためというより,たまらぬ快感でスリを続けるように,彼らは,脅迫・暴行で相手を屈服させて性欲を遂げることにこそ快感を感じるのである。だから,たとえ恋人(妻)がいても,金があっても,若くなくても(扱った連続強姦魔の中には50歳近いのもいた)捕まるまで強姦を続ける。そして出所後,繰り返す。
 小児性愛が治らないことは最近ようやく認知されてきたが,ことは他の異常性欲者もほぼ同じである。誰が死体に性欲を感じよう。だが,それを越え,殺して犯すことにこそ無上の快感を覚える鬼畜もいる。大久保清がそうだった。

 山口県光市の事件は,少年事件(犯時18歳)であることに目を奪われ,犯罪を客観的に見る視点が欠落していたと思われる。
 見ず知らずの女性を,準備した凶器で殺し,その上で犯す。快感は極限に達し,異様な興奮状態にあったはずだ。故にこそ,傍らの赤ん坊を叩きつけて殺し,2人の遺体を押入れに放り込んだ。財布を盗み,中にあった地域振興券を見せびらかし,ゲームセンターで遊んだ。この一連の行為は単に,鬼畜の犯行であり,反省の色がないだけではない。本質は,危険極まりない異常性欲者による犯行。前科はなくて当然,まだ18歳なのだから。
 性欲は,去勢しないかぎり,消えない。出所すれば必ずや,再犯に走るだろう。この度もし最高裁が検察官の上告を棄却し,原審の無期懲役を確定させておれば,25歳の服役者は40歳頃には仮釈放される。誰が新たな被害者になるか。いずれにしてもその責任は誰も取らない。これが法治国家だろうか。
 少年への死刑基準としてよく引き合いに出される永山事件は連続射殺事件である。だから,その最高裁判決で示された「被害者の数」4名は基準とはならない。

「理念」としては当然,犯罪者の更生をいうべきである。だが,医療にも個人の体質や素因によって不治があるのと同様,たまたま置かれた環境がもたらした偶発的な犯行と違い,人格そのものの発露といえる場合,更生は難しい。
 常習性の非常に強い犯罪類型は,大きく分けて,4つ。盗癖,粗暴癖,薬物嗜癖,そして性犯罪(異常性欲)。
「なくて7癖」というように,誰にでも癖がある。酒癖,女癖……。それがたまたま犯罪性向に結びつかなければ癖で終わるが,中には犯罪となる癖もある。それでも被害が財産で済めば回復が可能だが,人の命は違う。最愛の奥さんと子どもを非道に奪われたご主人その他遺族の方々は,人生を根こそぎ奪われたのである。
 少年だから寛刑にと主張する人は,自分がもし遺族であったとしても,同じことを言うのだろうか。想像力の欠如が死刑廃止や少年保護を唱えさせているのでなければ,幸いである。

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ポスト小泉・教育基本法改正

 国会の会期延長なし,と首相が明言――。
 三権分立違反のはずだが,マスコミは批判していない。その言葉通り,多くの法案を積み残した形で国会はまもなく閉会となり,あとは9月の総裁選である。
 おそらくは安倍総裁・首相が誕生するであろう。首相が彼を,自身の改革路線の継承者と見ているし,実際,永田町のムードもすでにそうなっているように感じられる。
 新首相には,冷静に,広い目をもって,国の舵取りをしてくれることを望む。以前にも書いたが,国会を離れて後の私は,首相の靖国神社参拝に懐疑的だ。国際法違反の裁判といくら言ってはみても,負け犬の遠吠え,国際的には日本はそれを主張できていないままである。靖国神社は私的な組織であり,A級戦犯合祀は不明瞭な手続きでなされた。中国韓国の反対が内政向けの方便であったとしても,行きたいから行く,ではなく,相応の説明責任を尽くし,現に起きている経済などへの効果を最小限にすべきだと思うのである。

 教育基本法改正についても,国会議員時代の私は大賛成だった。愛国心,当然。国のために戦う,当然。そう信じたのは,それまで多分に国家というものに無関心で生きてきたことへの反省ないし反動であったと思う。
 教育の問題は,基本法の文言・規定云々のレベルの問題ではない。
 家庭教育で,挨拶や規則正しい生活を教えられているか。あるいは学校教育で,国語と算数がどれだけ身についているのか。そうした基本レベルの問題なのである。
 一昨日,大学からの帰り,バスに乗ったら,2人の女子学生の会話が聞こえてきた。
「日本人だったら,ナンパされたらシカトするじゃん。でも外人だったら,つい」
「だよね。英話できるもんね」
「うまくなりたいね」
「外人,ナンパしたら」
「どう言ってナンパするの!? 言葉出てこないじゃん」ハハ。
「ね,韓国語の講座,出てる?」
「ううん。まずは英語したいじゃん」
「ホント。日本語もロクにできないんだから」
 その通りだ。
 英語は道具にすぎない。まず日本語で何を言うのか,その中身がなくて,何を喋るのだ。バスの終点で,会話の主のひとりは,お腹を出して素足に10センチのサンダル,ホットパンツスタイルで,お尻を振りながら,私の前を歩いて行った。
 まことに,教育がなってないのだ。教育基本法を変えれば,教育レベルが上がるのであれば変えたらいいと思うが,残念ながらそんなことはないはずである。

 見送りになった共謀罪も国際法・英米法概念との絡みで難しいが,村上世彰氏のインサイダー取引疑惑も,いわゆる通常のインサイダー取引とは趣を異にし,証券取引法を見たらすぐに分かるという代物ではない。勉強することが,実に多い。講義の生きた教材に事欠かないという意味では嬉しいはずなのだが。

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