阿部監督「事件」及び皇室典範改正について、いくつかの追加訂正です。

 阿部監督事件は、児童相談所と警察の先走り?のように感じていたが、どうやらそれは違って、娘自身が父親の刑事処罰を望んだらしい。18歳の被害者が被害届を出す意思表示をすれば、警察としては被疑者がそのまま家にいれば「証拠隠滅のおそれあり」として逮捕をするのはやむをえなかったろう。娘の弁護士が娘の手紙とやらを読み上げ、「これは私の意思で書いています。…父とは仲が良く、こんなことは初めてでした。…警察に父が連行されて私は泣き崩れました」と、さも娘の意思に沿うことなく警察が越権行為をしたように述べていたが、事実とは異なったのである。阿部家の断絶は、一般人の我々が想像するより遙かに深いのであろう。もちろん真実は当人らにしか分からない。

 阿部氏本人にしてみれば、こんなことで急遽監督を辞任し、長い将来を一瞬にして棒に振ったことは情けない限りであろう。復帰を願う署名活動も行われ、ネットを通して10万件以上に達したらしいが、それも終了したという。阿部監督後監督代行に就任した橋上氏の下、巨人は交流戦を一転、見事に戦い、セリーグトップの成績を挙げている。たまさかテレビに映るベンチの皆々はとても明るく、阿部監督時代とは完全に別の様相である。阿部監督は強権的で、おかしな人事や采配が多く、求心力があるようには思えなかった。阿部さんに戻ってきてもらいたいと思っている選手はほぼいないのではないか。巨人ファンはチームが勝ってくれれば、それで良い。巨人で活躍したスター選手でなくても、構わないのではないか。橋上さんの後は旧来のやり方に戻るかもしれないが。

 今回の皇室典範改正では、女性・女流天皇容認には踏み込まないが、踏み込むとした場合、重大なことを私は見落としていた。愛子さんか悠仁さんか、との選択に世間は注目しているが、女性天皇を認める場合、皇位継承順は①愛子さん、②佳子さん、③悠仁さん、になるのである。愛子さんが子孫を残せば皇位はそれに繋がり、もし子孫が出来なければ皇位は傍系に移り、長幼の順で次は佳子さんである。佳子さんがその時点で結婚して自らの意思で皇族を離れていれば継承権はないが、皇族に残っていれば佳子さんが天皇で、その夫も当然のように皇族となり、その子孫が天皇となる。悠仁さんは佳子さんの次。女性天皇を認めるとなれば、とりあえずは愛子さんが天皇となるが、そのあとが続かなければやはり皇位は傍系に移るということを、その場合、長幼の順で佳子さんのほうが悠仁さんより上位にあるということを、ついうっかりしていた。

 今、両陛下はオランダにいて、国王夫妻とFIFAワールドカップ観戦を楽しまれたという。強豪国オランダに日本が勝てるとは思わなかったが、2対2の引き分けとなった。オランダの王妃はアルゼンチン出身であり、アメリカで互いに知り合った。父親がヒトラー政権と関係の深かった閣僚であったことから、国民が大反対をし、王妃は結婚の条件として実家と縁を絶った。生まれたのは女ばかり3人。長女が王位を継承する。結婚する夫には公爵といった地位を与えるのであろう。両陛下はベルギーも訪れるが、ベルギー王妃は平民ではなく貴族出身であり、大変に品の良い方である。子供が4人いて男子もいるが、一番上の王女が王位を継ぐ。ハーバード大を卒業した才媛であり、これまた品のいい美人である。どの国の王室ももはや男女を問うことはなくなっている。

 

 

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皇室典範改正に思うこと

 愛子天皇でなぜダメなのですか? とよく聞かれる。今上天皇の娘で直系だし(悠仁親王は上皇の直系だが今上からは傍系となる)、イギリスでもどこでも女性も王になれるではないかと。なぜ日本だけが、天皇=男にこだわるのか? 

 戦前の皇室典範は、大日本帝国憲法と同位の絶対的規範であったが、戦後の皇室典範は、日本国憲法の下位にある一般の法律である。つまり、衆参共に各過半数の賛成で改正できる。今回、立法府の総意として、森英介衆院議長が発表した改正案は、「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」(1条)との皇位継承に関わるものではなく、今上天皇→秋篠宮殿下→悠仁殿下の皇位継承順は既定とする旨断っている。そのあとは? 悠仁殿下が結婚できなければ? 男子が生まれなければ? それはそのとき考えようということなのだろう。もちろん1条を改正して、今や国民の過半数が望んでいると思われる愛子天皇を認めたとしても、それによって将来の皇位継承は、低い確率が少しは高くなるにしろ、やはり蜘蛛の糸のように頼りないことと思える。

 立法府の総意は、皇位継承のことは置いて、とりあえずは先細りする皇族数の確保策を巡るものだという。その柱は2点。①結婚した女性皇族が望めば皇族に留まることができる(=「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」(12条)を改正する)②旧11宮家の男系男子を養子として迎える(=「天皇及び皇族は、養子をすることができない」(9条)を改正する)。①の問題として、皇族に留まった女性の配偶者(夫)と子供は皇族となるのか、がある。答えは未だ確定していないようだが、自民党内では否定論が強いようだ。つまり、それを認めると女系天皇に道を開くことになるからだろう。しかし一個の家庭内で母親(妻)だけ皇族の身分で、それ以外は平民(?)というのはいささか不自然ではないのだろうか。であれば私も皇族には残りません、と心ある女性であれば考えて、皇族を離れると思われる。

 次は②。昭和天皇には内親王が数人おられた。いずれも結婚して皇族の身分を離れたが、その方たちに男子の子孫がいたよねと考えたのだが、ああ、そうだ。彼らは女系だから、皇位継承から外れ、そもそも旧宮家でもないので、ここでいう養子の対象外であると気が付いた。その前の大正天皇の子供は昭和天皇以下3人の男子で、いずれも現宮家の主となったものの、高松宮と秩父宮には子供が出来ず、残っているのは三笠宮家のみである。GHQ下で皇籍離脱をさせられた旧11宮家といえば…知らなかった。天皇家との共通の祖先を「男系」で辿れば、600年以上遡らなければならないほどの遠縁だったとは! それは江戸時代より前の室町時代の話ではないですか。

 うち4宮家に20代以下の未婚の男系男子がいることについて、ヒアリングを経ていると思われるが、そもそも天皇や皇族と何の縁もなく生まれ成長してきて(我々一般市民と同じである)、大人になって急に、これから皇族に入らない? ○○宮家と養子縁組しない? と言われて、うんと言うほうが普通ではないだろう。○○宮家といったって、上皇の弟君・常陸宮は高齢だし、一体どこが養子を取るのだろうか。一般抽象論としては可能でも、具体的な話になれば、実現するとも思えない。眞子さんの時のK騒動が思い出されてくる。真っ当に仕事をし、暮らしている人たちが、慣れた自由を捨ててまで入ってくるとはとても思えないし、迎える私たちも対応に困ってしまう。

 森議長が「養子には皇位継承権はないが、その子供が男子であれば皇位継承権を持つ」と踏み込んだ発言をして、一斉に叩かれているが(今回は皇位継承の議論ではないのに、と)、議論の背景としては当然その含みがあったはずである。愛子さんが男系男子である皇族(=養子)と結婚して男子を産めば、その子は男系男子だから立派な皇位継承権をもつことになるわけだ。今回は女性天皇を認める方向に踏み込んではいないが、万一認めることにする場合、夫が男系男子皇族であれば、その子孫は皇位継承権をもつというわけである。こうしたスキームを素直に考えれば、養子になる男系男子は天皇皇后と養子縁組をし(婿養子である)娘さんと結婚するということなのかもしれない。しかし、愛子さんの気持ちもあるし、そんなに上手い話はないのじゃないと思ってしまう。

 1条には触れないということで、愛子天皇の可能性は今のところないのだが、かつて日本には8人の女性天皇がいた。その中には推古天皇や持統天皇といった有名どころもいる。いずれも中継ぎのような立場で選ばれ、その子孫に皇位を継承させたことはない。女性天皇が男系男子皇族以外との間の子供に皇位を継承させるのであれば、それは女系天皇となる。アンケートで女性天皇及び女系天皇への賛成を聞いていたことがあるが、その違いが分かっている人は少ないと思われる。元国会議員が私に聞いてきたくらいだから。長い歴史においては男系男子が跡を継ぐということでそれなりに続いてきたのかもしれないが、限りなく候補者がいなくなっている現実を前にしては、そんなことも言ってはおれまい。天皇制がなくなれば、日本の元首は内閣総理大臣とならざるをえない。風の向きでコロコロと代わる首相が元首では外国も敬意を払ってはくれまい。日本の皇室は、平安時代以降、神を祖先に持つとされるようになった。それ故簒奪者から奪われることもなく、綿々と続いてきた天皇制であるが、権威はあるものの権力とは離れている時期が長かった。明治以降が特別なのであり、戦後は一転、「象徴」である。

 ところで、スペイン王は今フェリペ6世(身長2メートル近いスポーツマン)だが、元ジャーナリストのレティシア王妃との間に設けたのは王女2人(のみ)。当然ながら長女、次女の順で王位継承権を持つ。もし女子に継承権がないのであれば、フェリペ6世には姉妹しかおらず、その子供たちに男子がいても女系になるので、うんと以前に遡るのだろうか。フェリペ6世の父親ファン・カルロス1世は共和制の独裁者だったフランシス・フランコから後継者指名を受け、1975年王政復古を実現した。その血筋はスペイン・ブルボン朝であり、ルイ14世の孫であるフェリペ5世から続いている。スペイン・ハプスブルグ家は叔姪の近親婚を繰り返した挙げ句、カルロス2世で断絶した。1700年のことだ。それでも我が国の今回養子に取ろうとする男系男子の600年前と比べれば近いことに唖然とする。

 女性ないし女系天皇絶対反対と言っている人たちは、ほぼ例外なく、夫婦選択的別姓にも反対しているようである。しかし、その人たちがどれほど反対をしても、今後認められていくだろうと思われる。かつてのブログにも書いたが、数多の側室があり、御三家御三卿を設けてもなお、徳川家が続いていくのは難しかったのである。男女平等は世界の流れでもあり、女性天皇OK、女系天皇OKにきっとなっていくだろうと思うのである。

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阿部監督、突然の辞任に至った「事件」に思うこと

 さる25日(月)の夜。「阿部慎之助、娘への暴力で現行犯逮捕」の速報がスマホに流れ、またテレビの速報にもなった。巨人は、22日(金)~24日(日)の東京ドーム、対阪神3連戦で無惨な連敗をし(私もテレビ観戦をしていた。巨人戦だけは日テレ系で必ずといっていいほど放映がある)、交流戦を前に阿部監督は最悪の精神状態だろうとは予想していた。しかも交流戦初戦はかつて巨人が日本シリーズで惨めな敗戦を重ねてきたソフトバンクなのである。だがしかし…。18歳の娘の首を絞めて、児童相談所から警察に通報され、自宅に駆けつけた警察官に現行犯逮捕されたって!? 児童相談所の保護対象は18歳未満だから、この娘は対象外である。例外的にそれまで虐待の相談が続いていた場合には18歳を越えても保護が続くのだが、それはつまりは虐待の常習だったってこと…? そして、自宅に行った職員に対しても暴力を振るったので職員が警察に通報し、現行犯逮捕されたっていうこと…? 

 ところが実際は、そんな大層な話では全然なかったのである。18歳の長女(高校3年?大学生?)と15歳の次女(中学3年?高校1年?)が同日午後6時頃喧嘩をしているので、「うるさい。静かにしろ」などと怒鳴ったところ、長女が言い返してきたので(絶不調巨人について揶揄したのだとしたら、父親が最も嫌がることであり、絶対に家族が口にしてはいけないことである。)胸倉を掴んだか何かして張り倒した、といった暴行態様だったらしい。首を絞めるとか殴る蹴るといった態様ではなかったらしい。何年も前から暴力はダメだと言われていて、学校でも職場でも厳禁になっているし、民法から親の懲戒権も削除されてしまったが、人間が最も解放される自宅であればタガが外れることだってあるだろう。私など昭和生まれで古いせいか?娘のほうで親への礼儀を欠いていたように思えるくらいである。

 そう、普通であればそれで終わる。長女も謝り、父親も謝ってたいていは済むはずだが(仲裁に入るべき母親は家にいたが、全く気配がない。このことについては後述)、そうはならなかった。なんと長女は、生成AI(人工知能)のメジャーツールであるChatGPTに、父親に暴力を振るわれたがどうしたらよいかと、相談をしたのである! その答えが「児童相談所」。生成AIは人間と違い、物事を理解して対応をしているのではなく、ただの「確率」なのだ。そういう問いに対してはその答えが多いというデータなのである。ちゃんとした人間(弁護士)であれば、年齢を聞いて、それは児童相談所ではないね。怪我とかして父親を許せない、処罰してほしいというのだったら警察に相談をすること、と答えていたはずだ。18歳は成人なので、親は不要である。時は午後7時、公務所の通常業務はとっくに終わり、児童相談所では日直のような職員が応じたのだろう。でもって、娘の年齢も聞かず(おそらく)、娘への暴力=警察だと、自ら警察に通報したと思われる。児童虐待で亡くなる子供の悲惨な事件が相次いで、児童相談所に対するパッシングもひどくなり、とにかく事を未然に防ごうと、今や児童相談所は警察とのタイアップを進め、警察に通報した以上自分たちへのお咎めはないという図式になっているのだろう。

 次は警察である。児童相談所からの夜間の緊急通報とあっては、すわ虐待だと、構えて自宅に急行したことだろう。阿部さんはお酒を飲んでいる(休日に自宅で酒を飲むのは普通のことである)。そして娘らの喧嘩の仲裁に入って云々…といったことを述べたであろう。娘は怪我をしていたわけではない。つまり傷害ではなく、その手前の暴行である。そして警察は暴行で現行犯逮捕をした。手錠を掛けて、連行したのである。これが解せない。街中で喧嘩をしている場合の現行犯逮捕は普通にある。たいてい互いに酔っ払っている。現行犯逮捕は私人にも可能で(刑事訴訟法214条)、それは事が明らかで捏造のおそれがないからである。娘への暴力はすでに終わっている(だから生成AIや児童相談所に相談をしている)。診断書を提出するほどの怪我もしていない。警察としては事情を聞いて(目撃した妹と母親?にも聞いたはずである)、娘に対しては被害届を出すのか聞いたうえで出すとの答えがあってようやく逮捕である。現行犯のうちでも準現行犯逮捕(212条2項3号?)なのだろうが、それにしても苦しい。携わった警察官は上司宛てに捜査報告書を書いている。そこに逮捕の必要性があった旨記載されているはずなので、内容を見てみたいものである。

 暴行や傷害は日常茶飯事である。110番を受けて警察が臨場することは非常に多い。それをいちいち警察沙汰にしていては事件が増えすぎる。だから、互いに顔見知りの場合には、今後話し合いで示談をするかと聞いて、両者そうすると答えれば(どちらも警察沙汰になどしては面倒なだけである)、民事事件ということで警察は介入しないのである。まして家庭内のことなのだから、今回の警察の対応は異様に感じられてならない。渋谷警察署はそのうえで、有名人を逮捕した旨出入りの記者にリークした(のであろう)。一般人であればこの程度のことがニュースになどなりはしない。

 阿部家から球団ないしは懇意の?弁護士に連絡が行き、翌日午前零時過ぎには釈放された。しかし、球団から厳しい対処を迫られた結果(と思われる)、即日辞任となったのである。今年監督3年目、優勝など論外の戦陣であり、監督辞任を願っていたファンも多かったし、おそらく今季後には辞任することを本人も覚悟していたと思われるが、それはまだ先のことだ。薬物や猥褻・性犯罪・賭博・脱税といったまさしく刑事犯ではなく、たかだか(とあえて言わせてもらう)家庭内のトラブルで、突然、長年培ってきたプロ野球との華々しい縁を強制終了させられた阿部さんの慟哭は察するに余りある。個人的に好きな野球人ではなかったけれど、それとこれとは別問題である。非常に後味の悪い結末だとしかいいようがない。本来であれば逮捕などなかったのだ。逮捕がなければ辞任問題ともならない。事件が不起訴で終わるのも間違いない。しばらく謹慎させたうえでの何らかの処分でよかったのではないか。球団が厳しく臨んだのは、おそらくはそれまでに阿部監督に多大な不満があった故とは推察されるのだが。

 3人の子供まで設けた夫が栄光ある巨人監督から一転無職になる(収入も無くなる)瀬戸際にあって、肝心の妻の姿が全く見えないことに不信感を覚えていた。ネットの暴露によると、10年ほど前に不倫騒動があり、以来不仲だそうである。夫婦が不仲であれば、家庭はぎくしゃくする。そうしたことも代償として払わされたにしろ、あまりに高すぎる代償であることに、言葉もない。

 

 

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栃木強殺事件に思うことなど

 とにかくいろいろな事件が起こり過ぎている感がある。京都府南丹市の衝撃的な小学5年生殺害事件もそうだったが、旭川動物園では職員がその妻を殺害し、動物用の焼却炉で燃やすという、これまた前代未聞の事件が起こった。人の命があまりに軽すぎる。前者は養父であり、後者は夫。他者から守るべき者が加害者になっているのだ。被害者にしてみれば、逃げようがない立場なのである(妻はまさか本当に殺されるとはその時になるまで思わなかっただろう)。妻のことが気に入らないのであれば、離婚をすればよいだけだ。離婚は嫌だと言われれば弁護士を立てて法的手段を取ればよい。普通にあることだ。それが、相手の存在が気に入らない→有無を言わさず抹殺→死体遺棄・損壊。なんと短絡的か。恐ろしくも何かのゲーム感覚のように思えるのだが、もう30代だというのに。それともその年代ではそうした感覚がもはや珍しくはなくなっているのだろうか。

 栃木強殺事件の衝撃度はこの2つを越えたかもしれない。実行犯である犯人4人がいずれも16歳、高校1年生なのだ。その上の指示役は28歳の男性とその妻24歳。なんと7ヶ月の乳児がいる! 彼ら6人は当日落ち合い、一緒にファミレスで食事をしていたという。強盗殺人は日本で最も重い犯罪である。刑法240条後段「強盗が人を死亡させたときは死刑又は無期拘禁刑に処する」(ちなみに前段は「強盗が人を負傷させたときは無期又は6年以上の拘禁刑に処し」であって、死亡に至らなくても大変重い)。殺人が故意のときは「強盗殺人」と言い、強盗の手段である「暴行」の結果の死亡であるときは「強盗致死」と言うが、条文は同じである。ただ金のために、バールで20箇所も刺して絶命させるという、なんとも残忍な殺害である。何ら落ち度なく突然襲われた被害女性の驚愕苦痛は想像を絶して余りある。どんな厳罰をもってしても償い切れないはずだ。飼い犬も殺され、駆けつけた息子さん2人も刺されて重傷を負ったという。悪質極まりない犯罪であり、成人には死刑が下されて然るべきだが、さて16歳はどうなるのか。

 20歳未満の少年に対しては、刑法ないし刑事訴訟法という刑事法の一般法ではなく、それらの特別法である少年法がまずもって適用される。少年法は少年に対しては保護処分(保護観察や少年院送致など)が原則であり、例外的に刑事処分に処すときには寛大に、の精神に溢れた法律である。根底にあるのは、少年は可塑性に富み、教育でもって更生させなければならない存在との考えだ。成人の場合、逮捕後送検して検察庁で勾留請求をしたうえ捜査をし、起訴されるのだが(指示役2人はそうなる)、少年の場合、検察庁はいったん家裁に事件を送致しなければならない。家裁で少年の環境や人格などを調査し(家裁には調査官がいて、親や学校の先生などがよばれる)、罪質や情状に照らしてもはや保護処分では済まず、「刑事処分相当」と審判されて初めて、検察庁に逆送され、そこで起訴になるのである(少年法20条1項)。

 ここで少し安心して欲しいのは、かつてはかなりひどいことをしても逆送にはなかなかならず少年院送致止まりのことがままあったが、私が議員をしていたときの議員立法で少年法の改正をいくつか行い、その一つとして、「犯罪の故意行為により被害者を死亡させた罪の事件であって、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るものについては(=本件はまさしく該当する)、刑事処分の決定をしなければならない。」(上記20条2項本文。但し書きについては下記)旨、14・15歳の年少少年を除いて逆送が原則とされたのである。であるので、今回の少年は皆逆送となり、公判に付されるのかと思われるだろうが、実は20条2項には但し書きがある。いわく、「調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りではない。」。実務では大変使われている条項で、ある意味弁護士の腕の見せ所といってもよい。裁判所としても16歳以上かつ強盗殺人だからといって、被告人→少年刑務所収監(当然前科である)とするのは、少年のこれからの長い人生を考えるとき、必ずしも是とはしないであろう。

 報道では、4人のうち1人は見張り役だったと言われる。少年は群れをなすのが特徴であり(少年における共犯事件は成人の場合と比べて圧倒的に多い)、ついつい軽い乗りで(←もちろん許されないことなのだが)一過性の犯行に手を染めた少年全員を逆送にするだろうか。もちろん主犯級はそうするだろうし、たとえ調査の結果更生の可能性があるとしても、これだけ世間を震撼とさせ被害も甚大極まりない以上、そうして欲しいと思う。ただ、少年法は少年に対して刑事処分を科すにしても、あくまで寛容である。犯時18歳未満には死刑を科すことができない(少年法51条1項)。最高刑は無期拘禁刑であり、死刑相当の事案でも無期となる。同様に犯時18歳未満が無期刑相当であっても有期刑にすることが出来る(同条2項)。成人の有期刑は20年以下(併合罪加重をして30年以下)であるが、「10年以上20年以下の拘禁刑」と、ずいぶん軽くなるのだ。本人の荷担が軽いか何かして情状酌量をかける場合(刑法68条)、有期拘禁刑となるが、この言い渡しは少年特有の「不定期刑」となり、最大で、「短期10年以上長期15年以下」となる(少年法52条)。ずいぶんと軽いが、これも改正前は「5年以上10年以下」が最大だったことを思えば(現場感覚として、あまりに軽すぎた!)重くはなったのである。

 ネットで、彼らに対して厳罰をとの声が溢れ、中には死刑は無理にしても無期拘禁刑にして二度と社会に出てくるなの乗りが多く見られたので、正しいことを書いておかねばと思った次第である。おまけに、これはきっと指摘がほぼないと思うので、付け足しておきたいのは、少年に対しては仮釈放も有利に定められているということである。少年法58条いわく、「①無期刑については7年(死刑相当が無期刑になった51条1項の場合には不適用。対して成人の場合は10年、刑法28条)、②51条2項による有期刑についてはその3分の1(成人も同じ) 、③52条の不定期刑については短期の3分の1」である。成人の場合、無期刑の仮釈放が認められるためには今や30年ほどを要すると言われ(どれだけ経っても再犯の可能性があれば認められないのは言うまでもない)、有期の仮釈放も残り数ヶ月位しかないのが通常であって、仮釈放に関する期間はどちらかというともはや死文に近いのだが、少年の場合は成人と比べて、できるだけ早く社会に戻して適応性を高めてもらいたいとの意向が実際問題として働くと思われる。

 ともあれ、これほどの重大な犯罪を引き起こしながら、犯人たちは驚くほどに行き当たりばったりに見える。そもそも空き巣狙いであれば家人が留守の間にあちこち物色することも可能だが(家人が戻ってきて揉み合いになれば事後強盗になり、その結果強盗致傷・致死になることもよくある。窃取自体は未遂でも関係がない)、人がいて殺すことを前提に?バールなど凶器を持参して入っているのだ。広い家のどこに金目のものがあるとの子細な情報があったうえでのことだろうか(次男の家に入って貴金属を盗った際に被害者宅の情報を得たとも言われているが)。窃盗のうち侵入盗は最も難易度が高く、まして侵入強盗はハードルの高い犯罪である。計画性が要るし、慣れた手口で職業的にやっている者もいる(最後は放火をしてすべての証拠隠滅を図る犯人もいる)。内部の様子をよく知る者を引き入れて図面も書いて計画的に犯行に及んだケースも知っている。高校生らは(指示役も)そこにいる被害者を脅して暴力を振るえば、金のあり場所を言うから、奪ってこれると簡単に考えていたのだろうか。強盗の常習犯であればいざ知らず、まだまだ大した犯罪をしたことがないはずの16歳ばかりで、一体どうやったら強盗が成功するだろうか。指示役2人もこれで犯罪は成功すると、何を根拠に思っていたのだろうか。あまりに素人というべきである。

 実際、結局のところ、人を殺害し、負傷させて、何も取れずに逃亡して、簡単に捕まったのである(強盗致死傷の成否には強取自体は既遂未遂を問わない)。報酬はたんまりやるし、捕まっても少年だから大した罪にはならないと言われていたのだろうか。闇バイトが問題になって久しいが、こんな形で罪を犯し、一体誰が得をするのか。お金が無くて困っていたという夫妻も犯罪にはてんで素人のようだし、その上に誰かいたのではないかとも思われるが(そいつも素人だとしか思えない)、それらは今後の捜査を待たねばならない。見返りは一切ないまま、ただ人生は詰んだのである。犯罪は基本的に何であれ、ペイしない。犯罪を犯す少年たちの家庭はほぼ教育機能を欠いているので、そうしたことも学校教育で教えないといけないのかもしれない。

 

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『父が残した市街化調整区域の土地処分に困っています。』

自由民主党月刊女性誌『りぶる』2026年6月号

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