羽生選手の快挙に思うこと

金曜夜はすっかり夜更かししてしまった。土曜午前4時ころ,羽生結弦の演技を見,続くパトリック・チャンの演技を見,羽生の金メダルを確認してから眠りについた。興奮していたのだろう,3時間後には目が覚めた(しかしソチは時差5時間にしては演技時間が遅くはないか? 午後11時にこんなハードな演技をしていたのでは体への負担が大きすぎる)。

日本男子フィギュア初の金メダル,というより欧米選手以外による初の金メダル,しかもまだ10代。とにかく羽生は別格だった。非の打ち所のない技術力,音楽と一体になった表現力,それを支える抜群のスタイルと品格。強さと美しさ,すべてを兼ね備えたといえば体操の内村航平,共にまさに絶対王者である。

フィギュアの身体能力として,求められるものは体操と共通するものも多いだろうが,明らかに異なるのはフィギュアには音楽が伴うということである。その意味でフィギュアは芸術でもあり,バレエとの共通項も多い。とにかく音に対する感性が豊かであって,音楽に乗ってそれを体で的確に表現し,観客に訴えかけて感動を与えられる人でなければならない。西洋音楽は日本には新しいものだし,またウィンタースポーツが入ってきてからの歴史も浅い。それが今や世界の強豪である。町田5位,高橋6位。ヨーロッパ選手権覇者のフェルナンデス(スペイン)4位,フランス選手権覇者で10位くらいなのだから,いかにそのレベルが高いかが分かる。今回出られなかった小塚,織田他の選手も日本人でさえなければ堂々と出られていたはずだから気の毒でもある。

閉塞感漂うこの国に,清涼感溢れる貴公子が現れ,日本のイメージを大いに高めてくれた。7回目のオリンピックで,銀メダルを獲得したレジェンド葛西紀明41歳にしても同様だ。片や…日本のイメージを歪め,国益を明らかに害しているとしか思えない政治はどうなのだろうと思えてならない。

閉塞感

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執筆『主人が海外出張で浮気をしているのでは・・・』

自由民主党月刊女性誌「りぶる3月号」

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都知事選結果に思うこと

9日施行の都知事選は,予想されたとおり舛添氏が当選した。200万票を超える圧勝。宇都宮氏2位,細川氏は僅差とはいえ3位であった。小泉氏を支援者につけた話題の細川氏,都知事選なのに脱原発しか言わないうえ,その具体的な行程作業については一切触れないままであった。年を取ったこともあり声も弱々しく,これでは任せられないなあと思った人が多かったのであろう。

舛添氏の当選は,積極的に委ねた人もいるのではあろうけれど,多くは消去法ではなかっただろうか。選挙期間中はずいぶんと精力的にあちこちを周り,にこにこしていたけれど,当選したら一転,以前と同様の上から目線の物言い,表情が鼻につくような気がする。課題はオリンピック準備だけではない,福祉その他山積だ。地位におごれることなく,一つ一つ謙虚にこなしていってほしいと,一都民として切に願わずにはいられない。

とにかくこのところ毎年のように都知事選があり,莫大な選挙費用が使われた。大阪市長選も行われる。橋下氏は自らの都構想が暗唱に乗り上げたと,まるで駄々っ子のような理由で辞職し,また選挙に打って出る。とはいえ対立候補も出ないし,そもそも市民が市長選で選択したのは都構想だけではないのである。文楽やクラシックなど,補助の必要な芸術面でのちょっとした金をちまちま削りながら,大義名分もない選挙に莫大な金をつぎ込む。これは公の私物化ではないのだろうか。そう,なんだかこのところあちこちが劣化しているようで,怒りを通り越して悲しくなってくることが多い。

さて,ソチオリンピックの日本勢が奮わない。スノーボードでの銀・銅がやっと取れたけれど,あとどれだけ取れるのだろうか。結果がすべてではないと言いながら,やはり競技だから結果は大事である。

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佐村河内守騒動に思うこと

まさに晴天の霹靂,現在のベートーベンともてはやされていた作曲家は実は詐欺師だった! 実を言うと彼のドキュメントは見たが,曲はほとんど聞いたことがない。だからどの程度の曲なのか判断は出来ないのだが,ことに交響曲ヒロシマは異例の売れ行きであったという。クラシックがそれほど売れることはないので,佐村河内(さむらごうち)氏は耳が聞こえない,その他の話題性故であろう。

自らの作曲ではなかったうえ,耳もどうやらちゃんと聞こえていたらしい。聞こえるのに聞こえないことにして障害認定を受ければ,自ずと各種手当てや特典がついてくるからそれはもちろん詐欺罪を構成する。その種の事件はことさら珍しいものではない。しかし彼の場合は,それを売りにしてレコード会社にCDなどを制作させ,テレビ番組にも応じていた。耳が聞こえ,かつゴースト作だと分かっていれば,どの相手も契約には応じなかったはずだから,やはり詐欺罪「人を欺して財物を交付させた」(刑法246条)を構成すると考えてよい。一人一人の購入者についてもおそらくは分かっていれば購入しなかったはずだから同様に詐欺罪になるだろうが,損害額が個別ではあまりに低いので,警察も一々取り上げないであろう。

詐欺は同時に不法行為(民法709条)を構成するので,レコード会社やテレビ局はそれぞれに生じた損害を請求することができる。もちろん各消費者も理論的には出来るが,損害額が低いので割には合わない。消費者が束になって訴えを起こせる,アメリカで広く認められているクラスアクションが日本にも取り入れられれば(今消費者の集団訴訟が検討されているところである)この限りではないのだが。

立派な作曲家から一転詐欺師に転落した本人についてはまさに自業自得であるが,18年間もゴーストをしていた作曲家についてはどうなるのか。障害者手当についての共犯にはならないが,曲を提供し,かつ少ないとはいえ報酬を貰っていたことによって他の詐欺罪の共犯にはなりうると考えられる。もっともこの間何らかの脅迫によって応じさせられていたという極めて気の毒な事情でもあればこの限りではないのであるが。

この詐欺事件は,例えば振り込め詐欺のような詐欺とは異質である。もっとずっと性が悪い,つまり犯情が悪質である。なぜならば,耳の聞こえない人(障害者)を貶め被爆者を貶めたからである。作られた話の信憑性を確かめることなく売らんかな精神で容易に乗ったメディアも情けないし,また彼なりその作品を高く評価していた人たちも情けない。漏れ聞くところによれば,曲自体はマーラーに似て音楽的にはとくに評価されるようなものではなかったという。

ゴーストは音楽大学の先生で,18年で20曲ほど作って,わずか700万円の報酬しか得ていないという。芸術家が食べていけない素地がそこにはあるように思われる。今回の騒動で最も気の毒なのが高橋大輔ではなかろうか。件の曲の一つがこのオリンピックで使われる。その良心の呵責に耐えかねて今回ゴーストが告白したらしいのだが,とばっちりもいいところである。ずっと怪我もあって本調子ではなく,今回は最後の五輪になる可能性も高い。動揺することなく最高の演技を披露してくれといったって,動揺しないほうが無理というものだ。今更振り付けも変えられないし曲も変えられない。とにかく気の毒としかいいようがない。

本来美しいはずの芸術の世界に,さもしい根性,さもしい金が入り込んだ。それがなんともやりきれない。

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若い力が続々登場している!

すごいなあ。ローザンヌ国際バレエコンクールで,日本人が優勝,2位,そして6位を占めた。15?18歳の若きダンサーの登竜門である。2年前には菅井円加さんが優勝,彼女自身の体の中から音楽が紡ぎ出されてくるような舞踊は圧巻であった。このコンクールで優勝した熊川哲也,吉田都のその後の活躍は誰もが知っている。

西洋音楽が日本に入ってきたのはもちろん明治以降でしかなく,伝統や文化という意味で日本は西洋にずいぶん遅れを取っている。しかしクラシックの分野では(ことにバイオリンを筆頭に)日本人は輝かしい受賞歴かつ活躍を誇るようになって,久しい。フィギュアスケートもかつてはロシアなどの北欧勢が上位を占めていたが,いつのまにか日本の選手層が厚くなり,国内予選を勝ち抜くほうが難しいと言われるまでになった。ソチ五輪ではフィギュアスケートの羽生,村上,そしてジャンプの高梨など10代の活躍が大いに期待され,開幕が待ち遠しい。

学問の世界に目を転ずれば,小保方晴子さんという研究者がSTAP細胞とやらを発見し,山中教授らがすでに発見したiPS細胞と相まって再生医療分野を席巻していく勢いだ。まだ30歳,将来が大いに期待される。私の趣味の大相撲の世界でも遠藤という,学生横綱出身力士23歳が初場所を大いに盛り上げ,若い女性の相撲ファンも急に増えてきた。ここはモンゴル国技館かと揶揄される大相撲の世界で,日本人力士がこれから大いに活躍し,優勝もし,順調に番付を上がっていくことは大変喜ばしいことである。

真剣に生きていた彼らは純粋で,その目がきらきらと輝いている。自分の好きなことを見つけ,たゆまぬ努力を重ねてきたことが報いられた,選ばれた人たち。その背後には報いられていない人も大勢いると思うが,それぞれの努力,生きてきた証は決して無駄になることはないだろう。若い力の登場は,停滞気味のこの社会を,国を盛り上げてくれる。ありがたいことだし,素晴らしいことだなとつくづく思う。

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