都知事選の結果に思うこと

小池氏有利との読みはあったが,ここまでの大差がつくとは。291万票! 4?年前の猪瀬氏434万票には及ばないが,2年前の舛添氏211万票を軽く上回り,戦後2番目の大得票である。増田氏(自民・公明推薦)179万票と鳥越氏(野党共闘)135万票を合わせてようやく上回るくらいで,全体の44%を占める(60%近い高投票率。前回46%)。

そうだよねえ,みな女性知事が欲しかったんだよね,とは思う。台湾で初の女性総統,英国で2人目の女性首相,そして米国では初の女性大統領が誕生しそうな時代である。日本で初の女性首相誕生はまだまだかもしれないが,知事や大臣はもう普通にいるこの時代,日本の顔である東京都知事に女性がなれば,来る東京オリンピックを見据えてよけいに相応しいと思った人は多かっただろうと思う。しかも男性知事が2人続いて金銭に絡むスキャンダルで辞任した後なのである。

ただでさえ女性が有利な状況にもって,増田氏は人柄は実直だし行政経験もあるが,知名度がないし,どうにも華がない。東京オリンピックのことをも考えても,ちょっとなあと思った人も結構いただろうと思う。野党連合も告示ぎりぎりようやく知名度のある鳥越氏を担いできたが,肝心の政策がまったくといっていいほどなかった。参院選で改憲勢力が3分の2を超えたことに危機感をもったなど,国政参加であれば格別,知事の政策としてはピント外れである。原子力云々もしかり。おまけに76歳の高齢(知事は激務だし,4年後は80歳となる!)とあっては駄目だと思った人も多かったと思う。小池氏自体を積極的に評価していないとしても,消去法でそうせざるをえなかった人も結構いたであろう。選挙というのは常に,ベストではなくベターを選ぶ制度である。

そもそも小池氏のバイタリティは生半可なものではない。思い起こせば去る10年以上も前のいわゆる小泉劇場。彼女は,従前の兵庫選挙区から完全な落下傘で,郵政民営化反対の現職議員のいる東京の選挙区に鞍替えし,見事に勝利した実績を持つ。小泉氏の喧嘩戦法に倣ったのか,「就任冒頭,都議会を解散する」宣言をし,自民党都連・都議会を対抗勢力に位置付け,女1人の孤独な戦いを演出することによって,多くの都民を自らの味方につけることに成功した。SNSの効果的利用なども突出していたという。

立候補そして選挙戦を通じて自民党との軋轢も多くあったが,このうえは,その人並み外れたエネルギーをもってして,停滞した都政を建て直し,4年の任期を実り多いものとして邁進されることを,一都民として心より願うものである。

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テレーザ・メイ首相誕生に思うこと

結局あの後、失言のレッドサム氏が撤退し、保守党党員の選挙を行うことなく、メイ首相が誕生した。四半世紀前のサッチャー首相誕生に続いて2人目の女性である。イギリスのEU離脱を進めるメイ首相は直ちにドイツに飛び、EUの中心人物であるメルケル首相と会談、共同記者会見に臨んだ。英独、あれまあ、こんな大国のトップがどちらも女性なのだ…。

共にとても感じの良い人である。しゃべり方も落ち着いている。熟考したうえでの発言、冷静で無駄口を叩かず、使命感に溢れた姿に好感が持てる。同年代の2人の共通点は、父親が聖職者であること。そして山歩きが趣味であること(夫はいるが子供はいないことも共通だ)。

どちらも極めて頭脳優秀である。メルケル氏は物理学でメイ氏は地理学、で思いついた。サッチャー氏は化学であった。理系(地理学は理系と文系両方に跨がるかもしれない)は基本的に頭が良いと、完全に文系の私はかねて思っている。専門分野をとことん極め、論理的な思考で、冷静に客観的に物事を対処できる特殊な頭脳。惜しむらくはその関心と関わる世界が狭きに止まることが多いが、もしその人が文系的センスも合わせ持ち、その関心を大きく社会や世界に向けることができれば、鬼に金棒であろうと思う。

加えて、気がついたことがある。父親が聖職者であることの意味である。父親の滅私奉公の精神を、遺伝と環境両方で受けついでいるのだ。サッチャー氏の父親は聖職者ではないが地元の名士であり、氏は父親を大変尊敬し、大事なことはすべて父親から学んだと言っていたそうである。誰からも尊敬される立派な父親の娘であることは、強烈なアイデンティティーとなり、不屈の精神力の源となるであろうと思える。男性的職業の最たるものである政治において、理想とする男性モデルを身近に見て育ったことは大きな背骨になると思うのだ。

メイ氏がおしゃれで有名であることも、おしゃれ大好き人間の私としてはとても嬉しいことである。ヒョウ柄靴がトレードマークだとか、実にたくさんの派手目な靴を持っている(イメルダを思い出した(笑))。公の場にふさわしい靴ではないように思うし、胸の谷間を見せる服などもどうかと思うのだが、イギリスではそれはセクシーさであり、歓迎されるという(本当?)。ともあれ、メイ氏は大柄で(メルケル氏と並んで10センチは高く感じられた)、腰の位置が高く、脚がすらりと長いので、膝上丈のスカートも綺麗に着こなしている。サッチャー氏は非常な美人であり、とにかくエレガントだったので、着る物にいちいち関心を持ったことはないのだが、メイ氏はこれから楽しみである。

好感度抜群の両氏に対して、思い浮かんだのがヒラリーである。大統領夫人だった頃はなかなか魅力的だと思っていたが、今は残念ながらそうは感じない。年を取ったということもあるのだろうが、自己顕示欲とあくの強さが顔に滲み出ているようだし、しゃべり方もヒステリックのように感じる。全女性の代表として「ガラスの天井」を突き破るかのように言うが、本心では、自分が特別の存在だときっと思っているのだろう。「今テレビを見ている少女たち、次はあなたの番かもよ」って、次は実に50年後になるの? 今40代・50代の女性が続くようでないといけないのでは? 人前で泣いたこともあるし、英独の、自然体で冷静沈着な女性とは残念ながら器が違うと感じてしまう。ヒラリーは…弁護士でした。

能力と適性があれば今や女性でも国のトップになれる時代である。ヒラリーがもしトランプに負けるようなことがあれば、それは女性故に負けたのではなく、ヒラリーという個人が負けたのである。女性を国政に、様々な分野のトップにと、かけ声を出すのは簡単だが、だからといって女性であればいいはずはなく、私は女性だから票を入れてよ、というのは違うと思う。しかるべく地位には、男女に限らず、器の備わった人を充てなければ、本人はともかく周りが不幸である。

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『ネットショップで詐欺に遭い、振り込んだお金を取り返したい』

自由民主党月刊女性誌「りぶる8月号」

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参院選が終わり、イギリスのEU離脱について未だ解せないこと

この度二人区から一人区になった選挙区では、自民党の知人が何人か落選してしまった。声もかけられない。本人ばかりか秘書も失職、議員会館事務所も議員宿舎もすぐに引き払わねばならない。傍ら大臣・副大臣・政務官の行政職にある場合は内閣改造まではその地位にあるから行かねばならないが、迎える側もどれほど気まずいか知れない。ああ、気の毒だなと心から思う。勝者はすべてを手にし、敗者はすべてを失う。選挙を戦争に比すのも、むべなるかな。私の選挙はもう18年前になる。

さて、Brexitに伴う法的な疑問が解けず、気持ちの悪い状態が続いている。EU Referendum Act 2015 (今回の国民投票法を実施する法律)は15年末上下院を通過し、女王の裁可も得ている。キャンペーンの実施期間や政党毎に使える予算などの規定があり、有権者の過半数で決するとされるが、結果について法的拘束力をもたせる規定(例えば「同結果は議会を拘束する」など)が存在しない。しかるに議会は、遡る1972年、翌年のEEC(EUの前身)加盟に当たって、すべてのEU法はイギリスの国内法の上位にある、とする法律を作っており、今なおこれは効力を持っている。同法を廃止する権限はひとり作った議会にあり、この度議員がそれぞれの判断に従って、廃止(=国民投票結果の承認)を否決すれば、下院を解散して総選挙をしなければならないはずだ。そこで離脱派が過半数選ばれればよいが、でなければまた否決となり、となると離脱は出来ないことになる。

この問題についてネットではずいぶん騒がれていて、法律家としてはいちいちなるほどと思いながら読んでいるが、それほどは真剣に討議されていない印象も受ける。法治国としては正当な手続きほど大事なことはないと思うのだが、どうやら議会も政府も国民も、保守党の新党首選(=新首相)が先のように感じられる。本命である残留派、ベテランのメイ内務大臣に、議員歴わずか5年程度の離脱派レッドサム議員が絡み、後者は自分が3人の子持ちであり前者に子供がないことについて「故に、自分のほうが国の将来に責任をもてる」などとする浅はかな発言をして、批判されている。思慮分別のない人はどの国にもいるものだ。

イギリスは議会制民主主義発祥の国であり、膨大な植民地にあまねく、英米法というソフトパワーを根付かせた偉大な国である、とずっと思っていた。しかし、今回の事態で見方は変わった。振り返って、国民投票に付した時、政府の念頭にあったのはただ「残留」の結果だけだったのだろうと思う。政府も議会も多くは残留派であったから、ただ国民の不満のガス抜きのために国民投票を実施し、ほらやっぱりあなたたちも残留を選んだでしょう、と言いたいがためであったのだろう。だから法的拘束力についての規定など設ける必要もなかった。法的拘束力はないが、政府は国民の意思に従うということだろうが、であっても法的な手続きは踏んでほしい。リスボン条約50条は、離脱を通告するにはその国の「憲法の条件に従って」とある。イギリスは成文憲法のない珍しい国だが(サウジアラビアにもない)、だからといって法的な手続きをすっ飛ばしていいはずがない。

参院選の結果について、報道の主眼点が改憲勢力3分の2超えにあることについて、大きな違和感を覚える。改憲は、するかしないか、ではなく「どの条項をどう変えるか」が問題だ。報道も国民も冷静に対処してほしいと思う。イギリスの混迷は他山の石である。

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イギリスのEU離脱騒動に思うこと

驚きの結果(24日)から1週間が経過した。へえ、イギリスって一流国だと思っていたけれどこの程度だったんだ…比べりゃ日本もまだましじゃない、と安心させてくれるほどの混乱、迷走ぶりだ。故チャーチル(いやサッチャーでも)が見ればどれほど嘆くことだろう。

発端は、こんな大事な、まさに国の存亡に関わる選択を安易に国民投票にかけたことである。日本の場合、国民投票は、憲法改正案を両議院が各総数3分の2で可決後にようやく実施されるものだから、帰趨は国民ではなく議会で決せられる。議会は国民の代表者で構成され、議員は政治のプロである(少なくともそのはずだ)。もしこれを最初から国民投票かつその過半数で決するとしたら…考えただけで、恐ろしい。国民の大半は、難しいことについては、正直無知である。残留か離脱か、その長所短所を分かって投票した国民はほんの少数しかいないはずだ。

だからこそ、僅差の52%で離脱派が勝利を収めた後、国中に大混乱が起き、離脱投票数の4分の1に達するほどの超多数が国民投票の再実施を請願しているのである。若者の多くは残留を望んでおり、将来のない老人らが離脱を選んで自分たちの将来を危うくすることに大きく反発している。ネット時代の彼らにとって国境は無関係であり、田舎の老人よりEU内の相手のほうがよほど親近感があるのだ。

国民投票実施のために法律は作ったが、結果について法的な拘束力はないのだという。とはいえ、実際はこのあと離脱に向かって進むのだと思われる。負けたキャメロン首相は直ちに辞任の意思を表示したが、次期首相を目指して離脱キャンペーンを張ったはずの人気者ジョンソン議員(元ロンドン市長)は立候補を断念した。まもなく次期党首、つまりは次期首相が決まる。次期首相においてEUに離脱通告をし、交渉を進め、そして何よりも、分断を招いた国をどうまとめていくのかという大きな舵取りを任せられることになる。残留派スコットランドは、僅差で否決した連邦からの独立を問う住民投票をおそらく再度実施することになるだろうし、北アイルランドも倣うかもしれない。残留派が多数を占めるロンドン市もまた連邦から離脱したがっているというし、そうした混乱が収まって、連邦がまとまるのかまとまらないのか、予断を許さない。

イギリスは統一ユーロを取らず自国ポンドを維持し、国境を越える移動を加盟国同士で自由に認めるシェンゲン協定にも加盟していない。EUから離脱する国がもしあるとすれば、海を隔てたイギリス連邦こそ最もたやすい国ではあった。EUは歴史的に嫌いなドイツがリーダーだし、その他いろいろEUへの不満は燻ってはいたものの、離脱派を勢いづかせたのは大量の移民が流入することへの危機であり、移民に自分たちの職場を取られてしまいかねない中下流の危機感であった。

そうなのだ。その危機感は、アメリカでまさかのトランプ候補が大躍進し共和党の候補に躍り出たのとまったくもって軌を一にしている。今、貧富の差は大きく開くばかり。経済的に不満を持つ層によって政治の帰趨が決せられる現実があるように思われる。今日本も参院選挙の最中だが、世界的な現実を冷静に視野に入れておかねばならないと思わされる。

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