『母の面倒を見た私。遺言通りの相続を受けたい』

自由民主党月刊女性誌「りぶる10月号」

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タレント釈放後の弁護士弁明に思うこと

この件、12日が満期日なので、示談が成立して釈放だとしたら今日(金曜)だよねと思いながら、昨夕事務所に戻ったら、案の定であった。そのこと自体は驚かなかったのだが、担当弁護士が報道各社に送ったというファクス全文を読んで、息をのんだ。これって、懲戒事案じゃない…!?

私は昨夏来所属弁護士会の懲戒委員会委員であり、対象弁護士及び関係者の事情聴取をしたうえで議決書の起案をし、加えて他の委員が起案した案件を討議して議決するという役目を担っている。昨日午後はたまたま月1回の定例開催日に出席していたので、よけいにそう感じたのかもしれないが、今日ネットで改めて読んでみて、改めての憤りを覚えている。

起案者はよほど刑事事件の素人なのであろう。前回のブログで書いたとおり、強姦致傷罪は親告罪とはされていない。だが告訴が取り下げられれば起訴はしないのだ。それは強姦や強制わいせつを親告罪とした趣旨が本人の名誉・プライバシーだからである。条文上親告罪ではないので、不起訴裁定書の主文は「親告罪の告訴の取り消し」とはできないが、「起訴猶予」としてその中に「告訴が取り消されたことも考慮して」と入れるだけであり、結局不起訴の結論自体は変わらない。それを、親告罪ではないのに不起訴としたのは、被疑者の行為が悪質ではないから(?)、ひいては被害者の合意があったから(? つまり「嫌疑不十分」だというわけだ!?)に及んでは、何をかいわんや。

そもそもこの主張は被害者を恐ろしく愚弄している。たしかに合意云々でもめることはある。例えば女性が男性の自宅に行った、女性が自宅に男性を上げた、一緒にホテルに行った…そうした場合、いざ事に及んで、ある程度の抵抗を示されたとしても男には前提事実があり、相手に許されていると思っても仕方がないところがある。男の故意が取れない場合、客観的には暴行ないし脅迫があったとしても公判維持は難しい。つまり検察庁としては嫌疑不十分で落とさざるをえないが、そうするよりは示談を勧め、告訴を取り消してもらったほうが「親告罪の告訴の取り消し」ないしは上記の通り「起訴猶予」で処理できるので、扱いがうんと楽である。しかし…本件はまるで違う。知らない者同士、どうやって合意が形成されていたと思えるのだ!? もしそう思っていたのならば、それは妄想ともよぶべき勝手な思い込みであり、精神鑑定の領域というべきであろう。

まあ、いい。そう本人が勝手に思い、また世間知らずの弁護士がその弁解を信じたのだとしても、それが内心に留まっている限りはよしとしよう。示談交渉において、今回の弁明文の内容を告げただろうか。合意があったと本人は言っている、起訴されたら無罪を争う(そうしたら貴女も法廷によばれていろいろ聞かれるよ、それは嫌でしょう)、と告げた上で示談を成立させただろうか。まさか。示談交渉ではひたすら謝罪だけをしたはずなのだ。そして無事に釈放を得た以上は怖いものなし、一方的な弁解だけをマスコミ各社に送り込み、そうすることで被害者を二重に傷つけたのだ。被害者には抗弁のしようがないのだから、恐ろしく卑怯なやり方である。

私もうっかりしていたが、昨今は被害者保護が行き渡り、警察に通報した段階で、弁護士会から被害者担当の弁護士がつくようになっている。本件も被害者側には弁護士がついたので、相手と直接交渉をする必要はなかったわけだが、被害者側弁護士との交渉はどんなものだったのだろうか。終わればこういう声明を出すよと言っていたはずもないので、相手方弁護士も自分の依頼者に立場がなく、困惑の極みではなかろうか。正体を明らかにする覚悟があれば、この弁護士を名誉毀損で訴えることもできるが、そうはしないとたかをくくっているのだろうか。というよりそんなことには思考が至らず、被疑者(依頼者)が言いたいことをただ代弁するのが弁護士の使命だと勘違いしているのはないだろうか。この声明文、ボス弁に読んでもらった上で出したのだろうか。この後の推移に非常に関心がもたれるところである。

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タレントによる強姦事件に思うこと

仕事でホテルに泊まった際の未明、フロントに電話をかけて歯ブラシを要求、持ってきた女性を部屋に連れ込んで強姦し、指に1週間の怪我を負わせたという。強姦致傷(刑法187条2項)は、強姦自体は未遂であっても「無期又は5年以上(20年以下)の懲役」。無期懲役があるので、裁判員裁判の対象である。

ただ怪我の程度が軽いので、傷害は落として強姦罪(177条前段)で起訴することも実務ではよくある。こちらは「3年以上(20年以下)の懲役」であり、3人の裁判官による裁判である。強姦は被害者の名誉を重んじて親告罪であり、被害者からの告訴がなければ起訴ができない、故に捜査もしない(対して強姦致傷は法文上親告罪から外れているが、同じようにやはり、告訴なくして捜査はしない)。

8月23日に逮捕されて24日に送検、勾留期間は10日間なので満期は9月2日(金)。おそらく勾留は10日間延長されて結局満期は12日(月)。逮捕後すぐについたはずの弁護士がこの間にすべきことは、被害者に謝罪し、示談を成立させて告訴を取り下げてもらうことである。強姦が既遂の場合、示談金相場は1000万円と言われる。「親告罪の告訴の取り消し」は無条件に不起訴になるが、20日間のタイムリミットの中で、被害者側にその気になってもらうのはなかなかに難しい。

もし被害者が示談に応じなければ当然起訴される。それでも公判係属中に示談に応じてもらえれば、初犯かつ若年でもあるので執行猶予がつくであろう。もし示談が成立しなければ──もちろん、実刑である。裁判員裁判になってからというもの、こと強姦の量刑は跳ね上がっていて、昔の検事は驚くばかりだが,懲役10年にはまさかならないはずだ。

報道によれば当初「計画的ではない」と弁解していたようだが、歯ブラシは各部屋にあり、それがないと言って電話をかけて持ってこさせる(フロントに女性が1人いたことを把握済み)のは十分に計画的であろう。あまり思いつかない手口でもあり、前にもやったことがあるのではと思っている。強姦は被害者が泣き寝入りをすることの多い、つまり「暗数」のある犯罪の典型である。

被疑者は「性欲を我慢できなかった」とも言っているそうであり、この弁明に結構納得する向きもあるようだが、性欲が旺盛なことと強姦とは、全く異なる次元の問題である。性欲が旺盛なので妻や彼女と何度もセックスをする、お金を払って処理できる所にしょっちゅう通う、は普通だが、見も知らない女性が必死に抵抗して嫌がるのも構わずしたい、できる、というのは普通ではない。この本質は、暴力で相手を屈服させることに快感を覚える支配欲だからである。検事時代,妻はいるのに外で強姦を繰り返していた被疑者は、女に激しく抵抗されないと快感を感じないのでと、しゃらっと言っていた。連続強姦魔は何人も扱ったが(この被疑者がそうだと言っているのでは、もちろんない)、児童性欲や薬物癖や盗癖同様、まさに病気としかいえないように思えた。

この事件、被疑者が有名人、しかもその母親が有名人であるために、大きく報道されることになった。でなければ誰も注目などしない一事件でしかなかったので,被害者も気の毒だし、また母親も気の毒だ。未成年であればともかく、22歳になった息子について母親はやはり記者会見をしなければならないのだろうか。母子ともに芸能人だからか。もし息子が30歳になっていてもやはり親は弁明しなければならないのだろうか。親の監督といったっておのずと限界がある。不幸にして何らかの精神的な障害を抱える子供が産まれる可能性は誰にだってある。民事の損害賠償額だって大変なものになるのだから、ここで母親を追い詰めたりすることのないようにと願わずにはいられない。

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熱いオリンピックが終わって

いやあ、こんなにオリンピックに熱中し感動したことは、かつてなかった。もしかしたら52年前の東京オリンピック以来かも。周りでも同じようなことを言っている人が多い。

金12個、銀8個、銅21個──史上最高の計41個。数だけではなく、中身が濃かった。柔道、体操、競泳、レスリング、卓球、バドミントン、シンクロ、そして何よりも男子陸上400?リレーでの銀! ただの1人も決勝進出した者、10秒を切る走者がいないのに、なぜ37秒台の記録が出せる!? 謎はアンダーハンドでのバトンパスにあったようだが、とにかくアメリカやカナダをも上回った。ボルトがいなければ、日本チームこそが金だったかもしれない。日本がよもやマラソン以外の陸上でこんな快挙を成し遂げられる日が来るとは思わなかった。4人の若者たちよ、万歳!

片や、ロンドンで銀だったなでしこは予選落ち、かつて日本が栄光を浴びたバレーもマラソンも低迷したままである。4年後の東京オリンピックに向けて、やるべきことはあまりに多い。イギリスはロンドンオリンピックに向けて大強化をし、今回も素晴らしい成績である。見習うところが多々あるはずだ。

それにしても(こんなことを言うと変わり身が早いと言われそうだけど)都知事が小池さんになっていて、本当に良かった。見栄えのする女性であることに加え、準備も大変なのを厭わず、着物を持っていってくれて実際に着てくれて、本当にありがとう。着方がもう一つだったのが残念ではあったけれど、場を弁えた素晴らしい着物・帯だったし、世界中が注目する最後の場面で、着物も日本も発信できたことに心よりの感謝をしたいと思っている。

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『ネット上にある娘の逮捕情報をなんとか消せないでしょうか』

自由民主党月刊女性誌「りぶる9月号」

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