新幹線の衝撃的事件に思うこと

なんともやりきれない事件が起きた。新幹線内放火である。ガソリンを持ち込んで焼身自殺を図り、乗客のうち女性2人が亡くなられた。どんなにか無念だったろう、言葉もない。怪我をされた方、その場におられた方、みなどれほど怖かっただろう。

自殺したければ人の迷惑にならないようにしてほしい。それをなぜ電車に飛び込んだりするのだろうと思っていた。遺族に生じる損害賠償額だって膨大だ。もちろん、自殺をする状態の人はすでに病気なので、そんな配慮が働かないのかもしれない。それを超えて、自殺するのに他人を道連れにしたいとかいった犯行もあるが、新幹線内での焼身自殺、など思いつきもしなかった。

飛行機と違い、新幹線に乗るのに、手荷物検査はない。それを不思議に思ったこともなかった。しかしもちろん、考えてみれば、凶器を持って入ってくる人だって、頭のおかしい人だって、いてもおかしくはないのだ。新幹線とはいわない、他の交通機関だって、デパートでも映画館でも劇場でも、人の密集する場所にそんな輩が入り込まない保障は何もない。テロだってあるのだ。ただ、これまでは意識していなかっただけ。これからは意識せざるをえなくなる。今後何らかの対策が講じられるだろうから、安全確保のために迅速性などは後回しにならざるをえないことにもなろう。

新幹線はこれまで脱線も事故もなく、ひたすら安全な乗り物であった。それをこんな形で安全神話にまさに火がつくなど、予想の外だったはずである。しかし乗員は的確な行動を取り、乗客もまた冷静に避難をしたという。女性子供を先に、といった声もあったとか、つくづく市井には立派な人が多いといつも感心させられる。放火が1両の前だったから乗客は逃げられたが、これが後ろでやられたら逃げられなかった。後部車両の前でやられても絶望的だった。その意味では不幸中の幸いだったかもしれないが、男はなぜ、そんな方法での自殺を思いついたのか、現住建造物(電車)放火と殺人(未必の故意はあった)で捜査がなされるので解明がなされればと思うが、とにかく模倣犯が心配である。

被害者の名前が報道されるのは仕方がないとしても、写真まで載せる必要があるのだろうか。フェイスブックからの掲載に、遺族の了解はおそらく取ってはいまい。こんな事件に巻き込まれて命を落とすだけでも不条理すぎる被害なのに、そのうえ家族構成や乗車の目的、仕事のことなど、プライバシーを報道されるのは明らかな二次被害だと思えて仕方がない。昨夜たまたまテレビをつけたら、被害女性の顔写真その他がクローズアップされていて、思わずチャンネルを回した。合掌。

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