小泉劇場

  小泉さんの喧嘩に強いこと!! 反対派の面々までが脱帽している。
  参院否決による解散、反対派非公認、対抗馬擁立。するとは言っていたが、まさかやらない、出来はしない、と思っていた。もう一つの公約「靖国神社8月15日参拝」は、周知の通り、まだ一度も実現させたことはない。
  だが、こちらははなから本気だったのだ。そして、今回分かったことは、永田町の外の人は、小泉ならばそこまでやると思っていたことだ。神仏を恐れず比叡山(既得権益)を焼き討ちした織田信長のように、馴れ合いや根回し、あるいは「和」を排除し、諸悪の根元のような派閥を解体させて政治を一新しようとしているからこその人気なのである。
  小泉政権は、この18日、池田勇人を抜き、戦後歴代4位の長期政権となった(佐藤栄作、吉田茂、中曽根康弘に次ぐ)。
 
  刺客で見せる、大入り満員の小泉劇場。
  当初食い入るように見ていたが、1週間で早や食傷気味になった。ここまでやってはあくどすぎる。急に関係のない落下傘がやってきて、馬鹿にされたと感じる有権者も多いのではないか。今やすっかりワイドショーの政治である。
  それにしても、刺客志望のなんと多いことか!! 以前からその地で立候補することを狙っていた人であれば格別、中央官僚が職をなげうってまで落下傘選挙という暴挙(としか私には思えない)に出るのだ。今回は比例上位で受かっても次はやはり選挙区で当選しないといけない。選挙区の維持は、地元出身者にすら大変だ。しかも「刺客」という形で出てきたことに党内の風当たりは強いはずだ。小泉後の保障は、ない。

  小泉流といえば人が納得するほど、小泉さんは稀代のマジシャンだ。
  とにかく今回の解散は憲政の常道ではない。二院制を無視しているのだ。
  衆院を解散をしても参院の構成は変わらない。だが、郵政民営化賛成派が勝てば、それを民意として参院も採決行動を変えるべきだと述べる識者がいるが、であればもともと参院は不要なのだ。二院制をとる多くの国にある貴族制(英国)や連邦制(米国やドイツ)がない戦後日本にあえて参院(戦前の貴族院)を設けた理由は、ともすれば大衆迎合に陥りやすい下院行動にブレーキをかけるため、良識的な判断をすべきだと考えられたからである。
  もっとも現実は、衆参に党議拘束をかけ、同じ採決行動をとらせている。だから、参院はもはや不要との結論が出てもおかしくはないかもしれない。つまり、憲法や我が国の政治制度の根幹に関する論議を、この解散は示唆している。
 
  小泉さんのやり方は、最初に結論ありき。なぜ言うことを聞かないのか。十分は説明も説得もなく、聞かない者は排除というのでは民主主義ではない。独裁者である。彼に核のボタンを託せば押すのではないか、そんな危惧がある。このやり方が爽快として支持される現状は、みながどこかで満たされず、不安を感じている証左ではないか。

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