『祖父の遺産が見つかりましたが放っておくと問題がありますか?』

自由民主党月刊女性誌「りぶる10月号」
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「不倫」と公人

不倫とか浮気とかいうから軽く聞こえる。ではなく姦通といえば、違うはずだ。戦前の刑法には姦通罪があった(183条)。北原白秋が人妻と関係して獄に繋がれたのはよく知られた話である(弟らの奔走により夫からの告訴は取り下げになった)。現行刑法は明治40年制定、100年を軽く超えるため、この間いくつかの大改正を経ている。代表格が昭和22年の改正だ。日本国憲法施行により、憲法の精神にそぐわない条項がいくつも出てきたのだ。まずは皇室に対する罪(第2編第1章)が丸ごと削除された。

姦通罪いわく「有夫ノ婦姦通シタルトキハ2年以下ノ懲役ニ処ス其相姦シタル者亦同シ」。つまり、基本的に女の貞操を問うものであり、男の場合は既婚女性を相手としない限りお咎めはなかった。憲法14条は男女平等をうたっているので、この規定は違憲になる。そこで一部には「妻ある男性にも平等に適用するように改正すれば憲法に違反しない」との意見もあったが、結局、削除となったのである。だが──ここが大事なところだが──処罰されなくなったというだけで、違法であることは変わらない。違法には様々なレベルがあって、中で、よほどの違法行為だけが処罰の対象となるのだ(法秩序維持のために刑法はあえて出しゃばらないことを、刑法の謙抑性ないし補充性という)。不貞行為は、当然ながら離婚理由だし慰謝料の根拠である。相手が既婚であれば、その配偶者からも慰謝料を請求される立場である。つまり、賢い人、尊敬されるべき人が行うべきことでは断じてないのである。

ことに公人。公人に私生活はないと思ってよい。公人については、何をどう書いても言っても、それが嘘でない限りは名誉毀損にはならない(刑法230条の2)。幾多の損害賠償訴訟敗訴例を経て、今やマスコミは、確実な裏を取らない限り報道はしなくなっている。つまり、報道事実=真実と考えて、およそ間違いはないのである。国会議員は、公人の頂点に立つべき立場である。なのに、昨今、国会議員の不祥事、中でも不倫報道があまりに多すぎる。自民党の当選2回生に頻発するので魔の2回生とも言われ、公認の仕方に問題があると言われている。ただ、私自身はこれは最近の公認問題というよりむしろ、もっと遡って、選挙制度を中選挙区に戻さない限り、候補者の劣化は止まらないだろうと思っている。

さてこの度は、自民党ならぬ民進党2回生の不倫不祥事である。元検事が売りだそうだが、司法試験合格は遅く、5年ほどしか経験はない。夫と6歳の子供がいる。名前を全国に売ったのは「保育園落ちた日本死ね」に始まる待機児童問題を取り上げたからだが、自らの子供を放って、男と朝までホテルで泊まり、週4回も会っていたというのでは、これはお笑いである。以前、自民党の宮崎某が国会議員の育休などとぶち上げながら、妻の出産時に自宅に女を引き入れていたときの嘲笑と相通じるものがある。目前の欲望が、公人であることにも人間としての規範意識にも勝る人間は、およそ規範意識に欠け(犯罪者によくあるタイプである)、公人である資格などおよそ存しない。宮崎某が潔く?議員辞職をしたように、彼女もまた議員辞職に値する。他にも、離党ではなくきちんと議員辞職をして欲しいと思う議員がたくさんいる。

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トランプ氏、問題の元保安官に恩赦の衝撃

アリゾナ州マリコパ郡のジョー・アルパイオ氏(共和党)は,1992年,選挙に勝利して同郡保安官(sheriff)に就任した。以来4年毎の選挙に勝ち抜くこと5回,2016年に民主党の対抗馬に敗れるまでの実に24年間,同郡の保安官で居続けた。

今85歳だから84歳まで現役の保安官だったわけだ。昨年の選挙に勝っていればさらに4年間。保安官就任が60歳という,日本でいえば定年であるのにも驚くが,いくら選挙とはいえ出馬制限がないのに,驚いてしまう。アメリカの最高裁判事が終身であるのは別として,年齢や人種,性別などによる一切の職業選択の差別を設けないことが国是なのかもしれない。

この保安官,全米に知られた有名人だったらしい。「米国で最もタフな保安官」と自讃し,毎月200回もテレビに露出していた。屋外にtent cityと呼ばれる劣悪な環境の拘置所を設置し,多くの人を砂漠の熱暑に閉じ込めていた。クレームが出ても「中東を見ろ。彼らは何も悪いことをしていないのに,もっと熱暑の中にいるんだ!」と吐き捨てたという。ろくな食物を与えず医療も受けさせず,女性たちを鎖につなぎ,人々にピンクの下着を着せた。犯罪者でもありえないが,彼らはそもそも罪を犯したのではない(日本では不法滞在はそれだけで犯罪だが,アメリカではそうではないという)。彼は,不法滞在の疑いがあると見なせば,特に中南米移民を標的に,「警備隊」に追いかけさせて身柄を拘束していたのである。でいながら肝心の職務である犯罪の捜査のほうは怠り,ことに,そういう女性たちが被害に遭った旨訴え出た性犯罪のケースでは,ほとんど捜査をせずに放ったらかしていたという。

まさか,ありえない! スクロールをかけてもかけても終わらない幾多の「罪状」を読むだけで,やりきれなくなってくる。どこぞの発展途上国や独裁国じゃあるまいし,先進国とされるアメリカの法執行官の実態が,これなのか。もちろん彼単独では行えない。部下が言うことを聞かなければ,あるいは知事など上の立場の人が止めれば出来なかったが,結局はそのやり方を支持する人が多いということである。そもそもが選挙に連続して選ばれているということ自体,まさしくその証左である。あな恐ろしや。法治国家日本ではありえない現実である。もしかしたら,それだけでも我々は感謝をせねばならないのかもしれない…。

もちろん,不見識者ばかりではなかった。2008年以降は裁判所からそうした拘束はやめなさいとの命令が下るようになり,民事訴訟もたくさん起こされ,郡が多額の和解金を支払うことになった。それでもなお氏は従来のやり方を改めようとせず,先月,連邦地裁から法廷侮辱罪の有罪判決を受けたのだ。この判決は上訴審で未だ確定せず刑の執行ももちろんまだなのだが,トランプはそんな氏に先週,恩赦を与えた! 大統領は無制限に恩赦を与える権限を持つから,法的には何ら問題はないのだが…。

トランプにとって,公然と人種差別をして人権を侵害する元保安官は,その職務を立派に全うした名誉ある公人なのである。オバマ氏の出生証明書が偽造だと最後まで強く主張し続けた人とあっては,トランプには大恩の人ではあるだろう。だが,先日の白人至上主義者による暴動事件への問題ある対処に続くこの恩赦は,トランプが自身人種差別主義者であり,アメリカの分断をあえて推進する大統領であるとのイメージを固めたといえよう。

さらなる根っこの問題は,法執行官が公然と司法判断に逆らったことを積極的に評価している点である。これはすなわち,アメリカの制度の根源をなす三権分立の否定といえる(ということにもおそらく気づいていないのだろうが)。そのこと自体は,就任来の移民排除大統領令を正当にも差し止めた司法を,彼が度重なって非難してきた事実からも見て取れたが,今回の件で決定的になった。それでもなおトランプを支持する白人層も依然多いという。だが,それもいつまでもつのだろうか。法を信じるものとして,最後はやはり正義が勝つと信じたい。

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世の中の景色がどんどん変わっている…

昨夜急に、ある本が欲しくなった。欲しいとなると何であれ矢も盾もたまらなくなる性格なので、明日(つまり今日日曜日)買いに出ようと考えた。ただ、特殊な物なのでまずはネットで取扱い店を調べなければならない。在庫があるかどうかもわからないので、明朝開店早々、その旨確認してから行くことにした。

でネットを開いたとき、特殊なものではあるがもしかしてアマゾンとか扱っていないか? 物は試しと閃いて、検索したら、なんとヒットしたのだ! びっくり。ただ発送はすぐとはいかず数日後だったが、贅沢は言えない。その際、私の購入履歴からいつものように私へのお勧めの本がついでに出るので、つられてそちらもクリックしたら、なんとこれは「明日発送」だ。土曜夜遅くのクリックでまさか日曜配送?間違いじゃないと思ったが、本当にまもなく配達されるようだ(配送状況のメールが来るので、そんなことまで分かるのだ)。これもびっくり。

信じられないような便利な世の中になっている。と同時に、これじゃ本屋はやっていけないと了解する。次々と閉店に追い込まれ、すでに4割位になっているらしい。私の自宅近くの本屋も2軒なくなった。新宿に行くとよく顔を出していた大きな本屋もなくなり、寂しい。文房具店も次々となくなっている。事務所ではほぼすべてアスクル注文だし、それでは賄えない特殊な文房具は近くにあった大きな文房具店を利用していたのだが、それも昨年閉店し、あとは銀座に行かないといけなくなったようだ。ネット通販の拡大によって、廃業に追い込まれた業種が実に多い。アパレルだって、通販購入者が多いので、アパレル業者はもちろん、アパレルで稼いでいた感のあるデパートもやっていくのが大変である。

さて、日本の空き家率はすでに7軒に1軒だという。とくに地方の空き家率は高く、少子化に伴って今後ますます増えて、いずれは3軒に1軒の空き家率になるのだという。こわい。一軒家はもちろん、マンションも空き室が多いと管理費・修繕費も集められず、管理は杜撰になってマンションは荒れ放題になり、管理組合で何か決めようにも住人がいないとあっては決めることもできなくなってしまう。

それなのに、マンションがどんどん建っているのはどういうことだろうか。地主やサラリーマンにマンション・アパート経営を勧める広告が引きも切らないのはどういうことだろうか。借金してまでの建設ないし経営が成り立つのは、もちろん住人あってこそである。空き家になれば家賃も入らず、借金も減らない。恐ろしい事態になることは、簡単に読める。その昔バブルの頃、銀行に勤める友人が、土地は上がり続けるという「神話」を信じていたので、正したことがある。「だって考えてみてよ。価格が上がるのは需要と供給のバランスで需要のほうが多いからでしょ。でも子供の数はこれから減り続ける。一人っ子同士が結婚したら、どちらかの家は不要になる。売りに出すことになるから、供給のほうがどう考えたって多くなるじゃない」。と言うと、彼は素直にびっくりしていた。

世の中は恐ろしい速さで変わっていく。空き家問題のように、冷静に考えれば読める変化もあれば、科学の進歩がすご過ぎて読めない変化もあるだろう。AIですたれる職業もたくさんあると言われる。弁護士業だって、それこそ供給を増やしすぎてやっていけない人が増えてきた。私は弁護士会の懲戒委員会にいるが、今や最もありふれた懲戒理由が「弁護士会費の未納入」になってしまった。東京では、総額100万円以上の未納で「退会命令」が普通である。月4万円の会費が払えない。弁護士業がやれなくなることがわかっていて、それでも100万円が調達できない。となれば冗談抜きに、食事にさえ事欠いているのだろう。なんとも切ない話である。

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人間関係において最も大切なことは「信頼」

国籍・年代を問わず、いわゆる知の巨人を尊敬している。佐藤優さんもその一人。古代から現代に至るあらゆるご本を読み、歴史・宗教・哲学を中心にして、広範な知識を自家薬籠中の物とされているのには敬服する。

最近読んだ雑誌の対談にも感心した。「信頼」について、ドイツの社会学者であるニコラス・ルーマンの『信頼』という著書が参考になるという(例によって私は、そんな人も著書も知らない‥)。いわく「信頼というものは、一度確立すると、そう簡単に崩れることはない。たとえ信頼を裏切られたとしても、人はなかなかそれを認めようとはしない。裏切られたことを認めてしまえば、そんな人間を信じてしまった自分が惨めになるからです。しかし、裏切りが何度も続くと、ある時点で信頼の閾値を超えることになります。そうなると今度は、いくら説得しても、どれほど客観的な成果をあげても、信頼は二度と戻りません。」読んでみようかと思ったが、著書はなかなか難しそうである。だが言っていることはその通りだと思う。

「民信なくば立たず」。これは孔子が弟子の子貢から政治にとって大切なものは何かと問われ、答えた言葉だという。孔子が考える政治にとって大切なことの3つは、「食を充たすこと」「軍備を整えること」「民衆から信頼されること」。止むなく省くとしてまずは軍備、次は食、信頼が最後に残るものであり、信がなければ政治は成り立たない。つまり、政治家が民に信頼されなくなっては、終わりだということである。

事はもちろん政治に限らない。商品を買うのも使うのも食べるのも、それを作った会社や人を信用・信頼しているからである。友情が続くのも尊敬の念を抱くのも、その基盤には信頼がある。最初は良かったけれど、いつの間にか終わってしまっている人間関係を考えてみると、やはり信頼が喪失されたということが大きいと思われる。もちろん、信頼以前に、話が面白くないとか(自分の関心事項、例えば家族のことしか話さない人など、男性でも結構いるのである)、それとも絡むのだが向上心がなくて生き方が尊敬できない人とも続かないとは、来し方を振り返って、思っていることではあるのだけれど。

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