大地震12日目に思うこと

 昨日スーパーに行ったら、品物がかなり戻っていた。牛乳もラーメンもある。お米も売られている。相変わらず乾電池がないくらいである。被災地で略奪や暴動が起こらないことが世界中で称賛されてはいるものの、肝心の被災地以外で物資の略奪が起きているというのでは、恥ずかしい。人々にそんな悪気はなくても、棚が空だったり、1人1本などと書かれていたりすると、人間の心理としてはつい買ってしまうのだろう。その昔オイルショックのころ、トイレットペーパーが棚からなくなった騒動を思い出した。

 相変わらず余震が続く。昨日昼は地下鉄に乗車中、突然停車した。「地震です」のアナウンスが流れ、「車内は安全です。外に降りないでください」と続いた。どこから降りるのだろうと思ったが、中には窓を開けて脱出する人もいるらしい。長く感じたが、まもなく動き出してほっとした。今朝の余震も結構すごかった。東京ですら毎日余震が続いて不快かつ怖い思いをしているのだから、まして震源地の方たちはどんなだろうと思う。

 地震後9日ぶりに救出された80歳の祖母と16歳の孫の話。警察官に救出されるとき、孫は「中におばあちゃんがいます。おばあちゃんから先に助けてください」と言ったという。助けた若い警察官も「警察官になってよかった」と。人を助けられる、人の役に立てるということほど、人間として生きがいを感じ、嬉しいと思うことはない。今回の地震で、自衛官、警察官、消防士になりたいと思う若者、子どもたちがきっと増えたであろう。これらはすべて自らの生命をかけて人を救う仕事であり、欧米ではずっと前から人々の尊敬を集めていた。

 対して政府や東電に対しては今回、情報隠ぺいその他の非難がとくに海外から上がっている。対応が後手後手に回っているのは素人から見ても明らかだ。オバマ大統領が12日未明菅首相に支援を申し出、10分間会談(Wall Street Journal)、00:40クリントン国務長官が米空軍に冷却材を輸送と述べるが、06:37米当局、冷却材は届けていない、日本側が自分たちで処理するとのこと(断った?)(NY Times14日付け Timeline)、15日米軍消防車2台が福島に向かったが不要と言われて引き返す(同15日付け Fire)…。東電からは14日すでに「チェルノブイリ以下スリーマイル島以上、爆発の危険あり」と報告を受けていたにかかわらず官邸は隠ぺいし、首相は翌日東電に乗りこんで3時間にもわたって業務を妨害した…つまりは政治的パフォーマンスに利用した(FACTA4月号)、などなど挙げるときりがない。

 しかし、今ここで政府の批判をしても、東電が今回のような津波や地震を想定外とし安全を怠っていたことなどの非難をしても、事態は何も好転しない。原発では被爆覚悟でまさに命をかけて戦っている職員がたくさんいるのも事実なのだ。お互い、今はとにかく助け合おうと思う。行事はすべて中止や延期となり、それは遠く離れた所でも事情は同じらしいが、節電のために照明が暗くなるのと合わせて気持ちが暗くなっても、事態は何も進展しない。それでは被災地の方々も助けられない。我々はせめて明るく、毎日の業務に勤しむべきであろうと思う。

 

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