永田町,大相撲……

 この1ヶ月で,すっかり周囲は秋である。お洒落の秋,食欲の秋,そして勉学の秋……ただ,スポーツの秋だけは依然縁遠い(笑)。
 突然のほっぽらかし辞任の後,遅ればせに安倍首相は入院。退院して,あるいはもしやこの人に限ってそのまま居続けるのではと案じていたら,案の定,そうだった。しかし,もう何も言う気にもなれない。怒りや憤りを感じているうちは相手を対等に扱っているわけで,もはや憐憫の情しかない。たぶんこの方には(詳しくは書けないが)精神的な障害があるやに今は感じている。もちろん韓国流の『池に落ちた犬は叩け』式発想が日本にはないからでもあろう。
 とはいえ,そうした個人への思いと,その公的な立場への評価は歴然と区別しなければならない。憲政史上未曾有の汚点,国際的な恥辱であることに変わりはないのである。

 大相撲の事件。親方自身がビール瓶で殴ったという。金属バットも使用。これは絶対に,もはや稽古などではありえない。
 毎回,講義ではできるだけ生の事件を取り上げるようにしているが,この事件にはどの学生も食いついてきた。「傷害致死」(なぜ殺人ではないか)「共犯」(の範囲),そして「量刑」。
 報道されるところによると,これまでも10人ばかりの若者が稽古で死んでいるという。その全部とは言わないまでも,何人かはこれまた事件ではなかったのだろうか。
 親方(あるいは弟子の何人かも?)の逮捕は時間の問題であろう。ここでまた露わになった相撲協会の当事者能力の欠如。ずっと相撲だけをやってきた者に組織を管理させるのはそもそも無理があるのではないだろうか。1リーグという特殊な世界であるだけに外部の目を持ってくるべき時期に来たように思う。

 さて,いろいろな事件が次から次に起こるけれど,個人的に最も関心があるのは,奈良の放火事件に関し,秘密漏洩容疑で鑑定医が逮捕された事件である。
 私はこの著者を知っている。法務省出身だというがその時の縁ではない。国会議員時代に訪ねて来て,ある少年事件に関しインタビューを受けたのだ。私の言葉として掲載される時には原稿に一応目を通すことにしているが,見たら間違いだらけだった。法務省出身といいながら手続きも言葉遣いもまるで分かっていなかった。ほぼ全面的に改訂して送り返したが,一片の謝罪も感謝もなく,記憶に鮮明である。
 今回,調書が露出したとの報道で,まざまざと思い出した。ある少年事件の調書を取ってくれと言ってきたのだ。もちろん言下に断ったが,「どうしてですか。国会議員なら取れるでしょう。公益上必要じゃないですか」と執拗だった。この医者はその執拗さに負けたのであろう。彼が中座した間に勝手に撮影していったというのが本当であれば,何をかいわんや。自分の飯の種には誰を裏切っても平気,信義も何もないのであろう。
 我々はよく,外に表れた行為を見て云々するが,それはただの徴表にすぎず,そのもともとの人間がおかしいのだということがよくある。抜本的にずれていて,何がどうおかしいというレベルではない人が永田町にもどこにでもいるのである。

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