執筆「自分が変われば人も変わる 自分が変わらなければ何も変わらない」

 また新しい年である。
 当然ながら、また一つ、年を取る。
 悲しいことである。だんだんと皺やしみが増え、白髪も増えてきた。体もたるんでしまりがなくなり、動きが鈍くなっている。若い人は綺麗でいいな、羨ましいなと思う。若い時には気がつかないが、若いことはそれだけで素晴らしいことなのである。
 ただ、冷静に考えると、加齢は悪いことばかりではないと思える。精神的にはむしろ良いことが多いように思う。私は成長が人より遅いのかもしれないが、ようやくに自分というもの分かってきて、ずいぶんと生きやすくなったのだ。
 私は短気で、狭量で、完全主義者なのだ。だから他人を受け入れにくかった。だが、人にもそれぞれの考え方、生き方があり、みな一生懸命にやっているのだと思えるようになって、対応が穏やかになった。
 自分が優しくなったからだろう、周りも私に優しくなった。自分が変われば人も変わる。自分が変わらなければ何も変わらない。本当に、もっと若い時にこの処世術が会得できていれば、人生もっと充実していただろうにと残念である。
 人生の有限が見えてきだすと、すべてが愛おしくなる。今見ている何気ない光景もいつか必ず見えなくなる。今話している人ともいつかは話せなくなる。年を取ると涙もろくなるのは感受性が研ぎ澄まされてくるからなのだ。
 とはいうものの、身体的にはやはりアンチエイジング(抗加齢)でいきたい。もともと堅い体が昨今ますます堅くなり、不自由になってきたので、体を動かすことを今年の目標にしようかなと思う。60歳でなお美しい前田美波里さんのようにはいくまいが、せめて努力だけはしたいものである。

自由民主党女性誌 『りぶる』

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