25日(月)の夜だった。「阿部慎之助、娘への暴力で現行犯逮捕」の速報がスマホに流れ、またテレビの速報にもなった。巨人は、22日(金)~24日(日)の東京ドーム、対阪神3連戦で無惨な敗戦を重ね(私もテレビ観戦をしていた。巨人戦だけは日テレ系で必ずといっていいほど放映があるのである)、交流戦を前に阿部さんは最悪の精神状態だろうとは予想していた。しかもその初戦はかつて日本シリーズで惨めな敗戦を重ねてきたソフトバンクなのである。だがしかし…。18歳の娘の首を絞めて、児童相談所から警察に通報され、自宅に駆けつけた警察官に現行犯逮捕されたって!? 児童相談所の保護対象は18歳未満だから、この娘は対象外だ。例外的にそれまで虐待の相談が続いていた場合には18歳を越えても保護が続くのだが、つまりは虐待の常習だったってこと…? そして、自宅に行った職員に対しても暴力を振るったので職員が警察に通報し、現行犯逮捕されたっていうこと…?
ところが実際は、そんな大層な話では全然なかったのである。18歳の長女(高校3年?大学生?)と15歳の次女(中学3年?高校1年?)が同日午後6時頃喧嘩をしているので、「うるさい。静かにしろ」などと怒鳴ったところ、長女が言い返してきたので(大不調巨人について揶揄したのだとしたら、父親が最も嫌がることであり、絶対に家族が口にしてはいけないことである。)胸倉を掴んで張り倒した、といった暴行態様だったらしい。首を絞めるとか殴る蹴るといった態様ではなかったらしい。暴力はダメだと言われていて、学校でも職場でも厳禁になっているが、一番人間が解放される自宅であればタガが外れることだってあるだろう。私など昭和生まれで古いせいか?娘のほうで親への礼儀を欠いていたように思えるくらいである。
そう、普通であればそれで終わる。長女も謝り、父親も謝って済むはずだが(仲裁に入るべき母親は家にいたが、全く気配がない。このことについては後述)、そうはならなかった。なんと長女は、生成AIのメジャーツールであるChatGPTに、父親に暴力を振るわれたがどうしたらよいかと、相談をしたのである! その答えが「児童相談所」。生成AIは人間と違い、物事を理解して対応をしているのではなく、ただの「確率」なのである。そういう問いに対してはその答えが多いというデータなのだ。ちゃんとした人間(弁護士)であれば、年齢を聞いて、それは児童相談所ではないね。怪我とかして父親を許せない、処罰してほしいというのだったら警察に相談をすること、と答えていたはずだ。18歳は成人なので、親は不要である。時は午後7時、公務所の通常業務はとっくに終わり、児童相談所では日直のような職員が応じたことだろう。でもって、娘の年齢も聞かず(おそらく)、娘への暴力=警察だと、自ら警察に通報したと思われる。児童虐待で亡くなる子供の悲惨な事件が相次いで、児童相談所に対するパッシングもひどくなり、とにかく事を未然に防ごうと、今や児童相談所は警察とのタイアップを進め、警察に通報した以上自分たちへのお咎めはないという図式になっているのだろう。
次は警察である。児童相談所からの通報とあっては、すわ虐待だと、構えて自宅に急行したことだろう。阿部さんはお酒を飲んでいる(休日に自宅で酒を飲むのは普通のことである)。そして娘らの喧嘩の仲裁に入って云々…といったことを述べたであろう。娘は怪我をしていたわけではない。つまり傷害ではなく、その手前の暴行である。そして警察は暴行で現行犯逮捕をした。手錠を掛けて、連行したのである。これが解せない。街中で喧嘩をしている場合の現行犯逮捕は普通にある。たいてい互いに酔っ払っている。現行犯逮捕は私人にも可能で(刑事訴訟法214条)、それは事が明らかで捏造のおそれがないからである。娘への暴力はすでに終わっている(だから生成AIや児童相談所に相談をしている)。診断書を提出するほどの怪我もしていない。警察としては事情を聞いて(目撃した妹と母親?にも聞いたはずである)、娘に対しては被害届を出すのか聞いたうえで出すとの答えがあってようやく逮捕である。現行犯のうちでも準現行犯逮捕(212条2項3号?)なのだろうが、それにしても苦しい。携わった警察官は上司宛てに捜査報告書を書いている。そこに逮捕の必要性があった旨記載されているはずなので、内容を見てみたいものである。
暴行や傷害は日常茶飯事である。110番を受けて警察が臨場してもいちいち警察沙汰にしていては事件が増えすぎて、困る。だから、互いに顔見知りの場合には、今後話し合いで示談をするかと聞いて、両者そうすると答えれば、それは民事事件ということで警察は介入しないのである。まして家族内のことだから、今回の警察の対応は異様に感じられてならない。渋谷警察署はそのうえで、有名人を逮捕した旨出入りの記者にリークした(のであろう)。一般人であればニュースになどなりはしない。これも有名税なのだろうか?
阿部家から球団ないしは弁護士に連絡が行き、午前零時過ぎには釈放された。しかし、球団から厳しい対処を迫られた結果、即日辞任となったのである。今年監督3年目、優勝など論外の戦陣であり、監督辞任を願っていたファンも多かったし、おそらく今季後には辞任することを本人も覚悟していたと思われるが、それはまだ先のことであった。薬物や猥褻・性犯罪・賭博・脱税といったまさしく刑事犯ではなく、たかだか(とあえて言わせてもらう)家庭内のトラブルで、突然、長年培ってきたプロ野球との華々しい縁を強制終了させられた阿部さんの慟哭は察するに余りある。好きな野球人ではなかったけれど、それとこれとは別問題だ。非常に後味の悪い結末である。本来であれば逮捕などなかったのだ。逮捕がなければ辞任問題ともならない。事件は不起訴で終わるのも間違いない。しばらく謹慎させたうえでの何らかの処分でよかったのではないか。厳しいことと、血も涙もないこととは別である。
夫が栄光ある巨人監督から無職になる(収入も無くなる)瀬戸際にあって、肝心の妻の姿が全く見えないことに不信感を覚えていたが、10年ほど前に不倫騒動があり、以来不仲だそうである。夫婦が不仲だということは、家庭がぎくしゃくしているということである。そうしたことも代償として払わされたにしろ、代償があまりに高すぎて、言葉もない。



