ホリエモン,2年6月の実刑!

 先週16日(金),求刑懲役4年に対し,懲役2年6月の実刑判決が出た。2年半,刑務所に入って刑務作業に勤めなければならない。すごいことである。
 ただ,元検事の私としてはこれは予想された判決であった。理由は3つある。

 まずは経済事犯自体が非常に重くなっていることだ。

 ずっと以前は証券取引法違反は軽罪であった。インサイダー取引でどれだけ利得をしても,6月以下。軽犯罪並みの社会的非難であった。故に当然,執行猶予がついたが,このところアメリカの影響もあって,経済事犯全体の刑罰が極めて重くなってきた。
 例えば,インサイダー取引(法166条)は5年以下の懲役・500万円以下の罰金だ(197条の2,13号)。相場操縦(159条)に至っては,なんと10年以下の懲役・1000万円以下の罰金(197条1項5号)! この懲役刑は,典型的な刑法犯である窃盗・業務上横領・詐欺・恐喝などと同一であり,これに罰金併科も可能なのだから,どれほど重大な犯罪と考えられているか,理解されえよう。
 ちなみにライブドア関係者が起訴されたのは,同法の中の有価証券報告書虚偽記載と偽計・風説の流布であり,いずれも刑罰は上記相場操縦と同じである(197条1項1・5号)。つまり,2つを併合すれば懲役15年まで科しうる,まさにとびきり重大な経済事犯なのである。

 2つ目は求刑。

 執行猶予にしてもらっていい場合,検察は求刑を3年に抑えるという慣行がある(宮内の求刑は2年6月である)。ではない求刑4年は,実刑を望むという意思表示であり,またたとえ実刑でも求刑の半分以下になった場合はやはり控訴をするから,裁判所の落としどころとしては2年6月の実刑が最も妥当な線であった。

 とはいえ,懲役3年に落として執行猶予という選択肢ももちろんある。限りなく実刑に近い線としては執行猶予期間は5年であろう。だが,そうしなかったのは被疑者個別の理由である。

 被疑者は一切反省をしていない。裁判所としては「反省をしていることを考慮し,特別に」執行猶予を付けることができない。加えて,弁護人の特異な言動も際だっていた。宮内らの業務上横領を挙げ,検察が取引をしたとの疑惑を法廷の場で主張するのは,弁護士の職責としてまっとうである。が,これをテレビ向けに「乞うご期待!」などとぶつのは,次元の異なる話である。裁判官も人間である。嫌悪を抱いて当然だ。
 弁護士は本来依頼者のために利益になる行動をすべきである。もし依頼者から望まれたとしても,いやここで貴方のやるべきことはひたすら陳謝し,恭順の意を表することだ,でないと実刑になるよと諭すべきであった。弁護人はそれをしなかったばかりか,今回の判決を「常軌を逸した」とまで述べた。
 一審判決を覆すのは民事も刑事も容易なことではない。現在損害賠償請求を起こされている一般投資家に対してできる限りの賠償をし,様々な形で反省を示さない限り,二審で執行猶予になるということはありえないであろう。
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