エリザベス女王ご逝去;ある祝賀会に思うこと

敬愛する君主であった。エリザベス2世。伯父エドワード8世が離婚歴のあるアメリカ女性シンプソン夫人との結婚を選んで退位し,父がジョージ6世として戴冠したとき,長女エリザベスは10歳。自分が次期女王になることを自覚し,勉強を重ね,常に勤勉で,何事にも前向きに取り組んだという。13歳の時に5歳上の軍人フィリップ(ギリシア王室出身)に恋をし,それを一途に実らせて8年後に結婚。父が56歳で亡くなったため,弱冠25歳で女王になり,以後実に70年もの間イギリスは,イギリス連邦は,そして世界は,彼女と共にあった。

美人である。彼女こそがイギリス美人だと言う人もいた。知的で気品に溢れていた。親しみやすさもあり,穏やかで毅然とした人柄そのままの外見であった。帽子とのトータルファッションも楽しみだった。公務を離れて自由にしたいと願ったことは,おそらくなかったのではなかろうか。人々に奉仕することこそが自分の人生だと,それが神に与えられた自分の使命だと,潔く達観しておられたに違いない。4人の子供のうち長男チャールズ(3世),長女アン,次男アンドルーはそれぞれに離婚した。いろいろあった1992年の末,女王が国会で恒例の演説をした際「アナス・ホリビリス(恐ろしい年だった)」と風邪声で述べられたシーンをよく覚えている。

次々と起こる様々な王室不祥事や問題を,女王は常に的確に,正しい感覚で乗り切ってこられた。同じく国民に人気の高かったお母様は101歳まで生きられたので,女王もきっと100歳までは生きられるのだと思っていた。この6日には新首相トラス氏と立って面会し(普段着ではあったが),そうしたら8日には「医師団の監視下に入った」との報道があり,あれっと思う間もなく,安らかに亡くなられたとの報道に,耳を疑った。ほぼ全く寝込むことはなかったのだ!老衰ではないはずである。昨年,70年以上連れ添った王配が亡くなり,誰にも迷惑を掛けないよう,意思の力で後を追ったのだろうか。宮殿には虹がかかったそうだ。イギリスを長く,全身で体現していた女王が亡くなり,スコットランド初め独立を模索する地域もまたぞろ出るだろうし,連邦を離脱して共和国にしたいとの国もきっと続くだろう。次の国王が同じようにやれるとは思ってはいない。

ほんまものの国葬が19日,ウェストミンスター寺院で挙行される。逝去から11日後,ご遺体を存置して行われるのである(吉田茂氏の国葬もそれくらいで行われた)。女王は元首だから国葬だが,日本の首相は元首ではないし(元首は天皇),しかも元職だし,かつまた2ヶ月半もの後に行うのはやはりおかしいであろう。海外にも招待状を出してしまったし,今更止めるわけにはいかないのだろうが,イギリスに行くので日本には行けないという首脳も出てくるだろう。日本からは天皇皇后両陛下が出席されるとのこと,良いことである。

9日夜,私はニューオータニにいた。勲一等(旭日大綬章)受勲祝賀会で会費2万円(政治資金パーティと同じ)だったが,コロナ禍でどこも飲食を取りやめているし,お腹がすくだろうと軽食を済ませて行ったところ,着席フルコースだった。各7名65テーブル=500名超え。素晴らしい料理で,これだけで2万円以上だ!! おまけに洒落た記念品まで頂戴し,完全に持ち出しだと思えた。ご本人(医師)は44歳で国会に初当選後,70歳になったら辞めようと決めていたとのこと。なんと立派なことだろう。反対に,周りは辞めてほしいと思っているのに,「私は辞めたいのだけど,周りが辞めさせてくれないので…」と言う議員を多く見てきた。「惜しまれているうちに辞めるのが花なので」と,にこやかに挨拶される。著書もたくさんあって,今流行りの神経内科が専門だし,政治の経験が豊富で,人徳ある方なので,これからも様々に活躍してくださることと思う。

もうずっと前になるが,同じく前代議士の勲一等受勲祝賀会に行ったことがある。会費は書いてなかったが,まさか手ぶらで行くわけにもいかず,2万円を包んだが(この場合領収証はくれない),立ち席で飲み物のみで食事はなく,来賓らの挨拶を聞かされ,最後1000円程度の記念品?を渡されただけだった。これって,祝い金は所得とせず,会場設営費のみを経費にしてボロ儲けするの!? 後味が大変悪かった。現役時代良いことをたくさんされたはずだし,その後も何度か見かけることがあるが,声を掛ける気にはならない。やはり金銭感覚は人の生き方そのものだと思うことしきりである。

カテゴリー: 最近思うこと パーマリンク