今年を振り返って、思うこと

国際的に激動の2016年でした。イギリスのEU離脱、トランプ大統領誕生(件の3州での投票数え直しは、第3党の申し立てなので訴えの利益なしとして?裁判所は手続きを進めていないらしい)、そして韓国大統領の弾劾可決(憲法裁判所での承認を残すが、覆ることはないと思う)…まさかということが立て続けに起こるものだ。まさに、事実は小説より奇なり。

2度あることは3度ある。たぶんこの後ももっと起こるのではないか。なぜならば、これら事象はばらばらに偶然起こっているわけではなく、共通の背景があると見られるからである。ずばり、貧富の格差。経済はまさに政治を動かす中核である。そもそも恵まれている人は、国や社会にさしたる不満を持たないものである。犯罪、しかり。日本はまだそれほど貧富の格差が際だっておらず、犯罪も幸い少ないままだが、非正規社員も増えて経済も縮小しており、決して安泰ではないと思う。

先週軽い風邪を引き、当面の予定のみこなしていたら(忘年会シーズンである)、未処理のものがついつい溜まっていた。今日それを1つ1つ点検して、廃棄するなりファイリングするなりしたら、片付いてずいぶん気持ちが良い。事務所はいつもたいてい綺麗に整理をしているが、家はそうはいかない。だが最近必要があって片付けを始めたら、なかなか爽快で、この際すべての片付けをしたいと思うようになった。それは結局のところ、要らない物を処分することである。捨てる!と決める際はかなり勇気が要るが、あとで「あれ、捨てなけりゃ良かった…」と後悔することは稀である。実際、着る服も読む本も使う食器もお気に入りに限られるのだし、もっとシンプルに暮らすべきだと思うようになった。もっとも皆がそんな風に思えば、デパートの売上げも消費も落ち込んでしまうのだが(笑)。

ネットで昨日、その昔大ブレークをした「愛と死をみつめて」を見つけた。東京オリンピックの年だったそうだ。懐かしい。往復400もの書簡集は大ベストセラーになり、主題歌はレコード大賞を受賞、吉永小百合と浜田光夫主演で映画にもなった。大島みち子さんは兵庫県の西脇出身、顔の軟骨肉腫という難病を患い、同志社大学に入学したものの、顔左半分を失う手術を受け、21歳の若さで亡くなった。その絶筆(以下、大意)「神様、病院外の3日を下さい。1日目は家に帰り、祖父の肩を叩き、母と台所に立って美味しい食事を作り、皆で楽しく食卓を囲みたい。2日目はマコ(往復書簡の相手の河野実さん)の家に行って、掃除をし、ワイシャツにアイロンをかけ、美味しい食事を作ってあげたい。3日目は1人、その思い出に浸って、感謝をしながら永遠の眠りに就きたい…」。

決して叶わなかった望みは、誰もが送っている日常の毎日である。そのことにいちいち満足し、まして感謝などすることがないのに、はっと気づかされる。世界を見れば、彼女のように難病に苦しむ人も、戦闘や爆撃下の人も、餓えてひもじい日々を送る人もたくさんいるというのに、だ。平穏な毎日に心からの感謝をしなければ、今にきっと罰が当たりそうな気がしてしまう。

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