続・統一地方選挙、セウォル号船長に控訴審で無期懲役

改めて区議選の得票数を見てみる。23区中最も人口が少ない(5万人弱)千代田区の議員定数は25。トップ当選者が1145票(この人は私方事務所近くでもポスターをよく見る)、2位953票。最下位2人はなんと500票もないのである!(最下位477票)。びっくりである(その下の落選者とはわずか5票で明暗を分けている)。他の区の定数を見ると30から50(=世田谷区・大田区・練馬区)。

世田谷区のトップ当選は9890票(無所属3期目女性)で最下位3333票、大田区は7785票(自民5期目男性)と2941票、練馬区は10326票!(無所属4期目男性)と2781票である。区間での差が実に激しい(ちなみに、町村議選(大島町や小笠原町)は100票台で当選している!トップで500未満)。

議員定数は各条例で決まる(地方自治法でかつて定めていた上限枠は撤廃されている)。国政選挙とは違って、地域による一票の重みの差が憲法14条にいう「法の下の平等」に反するから定数是正をしろ、選挙は違憲無効だといった主張は出てこないし、訴訟にもならない。条例を定める議員自らが定数を減らし自らの首を絞めるはずもない。とはいえ、このままでよいのだろうか‥選挙の時だけ頭を下げられる存在でよいのか‥と考えさせられてしまう。

さて、衝撃的なセウォル号事件からちょうど1年が経ち、丸刈り遺族の抗議行進などのニュースが入ってくる。政府は無責任だ、大事故が起こった真相が未だに解明されていない等々。たしかにこれが日本であれば(もちろん日本でこんな事故が起こるはずもないのだが)会社から政府から、大変な事態になっている。政府なり会社が真相解明を尽くさないのであればその役割は裁判に委ねられることになる。しかし、ここの裁判は実に速い。昨年11月には一審判決が出て、今回もう控訴審判決だ。これほど拙速では真相解明には程遠いように思われる。

船長ら4人に対して殺人罪を適用し、船長には死刑を求刑していた検察に対し、一審地裁は、遺棄致死罪しか認めず、船長を懲役36年とした。判決を不服として検察が控訴したのに対し、高裁はどんな判断を下すのかとても注目していた。結果は一審を覆して検察の意見を入れ、ただ死刑は回避して(韓国は事実上の死刑廃止国だ)無期懲役としたという。理由は「船長として人命救助の措置を決める唯一の権限があったのに、乗客の安全に対する役割を放棄した。乗客を放置して逃げた行為は殺人と変わらない」(つまり他の3人についてはやはり殺人罪を適用しない)。

一審は、船長が二等航海士に乗客の脱出を指示したことをもって殺人の未必の故意を認めず、二審は「乗客に放送で待機を命じたが、その後は待避命令を指示せず、待避放送も流されなかった。脱出後も救助に関心を示さず、避難するまで自らの身分を明かさなかった」とした。極めて悪質なのはいうまでもなく、厳しい非難が妥当するのは当然だが、しかし法治国家として、これが殺人罪になるか否かは別の問題である。一審は司法の独立を重視したと思うのだが、二審は、裁判官の良心に従い、自らの判断だけでこの結論を導いたのか、あるいは民衆の意を汲み、大統領府の意向(を汲んだ検察の意向)を汲んだのか、関心のあるところではある。被告側及び検察の上告は必至なので、最高裁の判断が待たれる。

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