参院選が迫る

 6月2日に鳩山・小沢が辞任し、4日菅首相が誕生したとたん、支持率はV字回復である。支持率の高いうちにと、通常国会は予定通り17日に閉会となり、今や永田町はほぼ選挙一色である。

 私が12年前の7月、参議院議員になった。1期6年で引退したから、もし2期目をやっていたとしたらこの度の選挙は3期目を目指す選挙となる。
 先般、参院自民党同期のうち集まれるものが9名、集まった。12年前(平成10年)、同期は22人だった。十年会と名付けられ、最年少だった私が初代幹事となった。うち、この度の選挙に出て3期目を目指すのはたった4人である。うちどれだけが残るか。違う党に行ってしまった人も結構いる。選挙に勝ち続けるというのは大変なことなのである。
 6年前弁護士になった翌年、郵政解散・選挙があり、3年前の参院選は安部首相の下で自民党は大敗を喫し、参院自民党は野党に転落した。そして昨夏の衆院選で麻生首相の下、名実ともに野党となった。そして1年足らず。与党と聞くと未だに自民党のことだとふと思ってしまうほど、なかなか変化には慣れないものである。

 菅さんが政治理念を語るのを聞いたことはない。おそらく、ないのであろう。それでも国民はこの人に期待せざるをえない。珍しく世襲でないのも新鮮だ。それが支持率の上昇になって表れている。
 希代の軽い鳩山首相の下、民主党の迷走ぶりは目に余ったが、自民党の支持率は上がらない。消費税を真似したとか、事務所費問題をどうするとか、枝葉末節なことを言っていてはだめである。そもそも自民党政治に嫌気がさしたからこそ国民は改革を求めて民主党に投票したのだ。その反省に立ったうえで、相手の揚げ足とりではなく、主体的積極的にこの国をどうしていくという道筋を示さなければ、国民の支持は得られない。与野党を問わずいつも思うのだが、政治家に組織的なブレーンがおらず、個々勝手に適当なことを言っている感がある。

 大相撲の野球賭博問題にも揺れる中(しかしマスコミは前から賭博のことを知っていたのである)、日本サッカーの勝利がほぼ唯一の明るい話題かもしれない。私も俄かサッカーファンとなり、夜11時からの生放送を見るために連日夜更かししている。今夜11時、南米パラグアイとの善戦を、できれば勝利を、心から祈っている。

 4月からの毎日曜午後6時?NHK教育「ハーバード白熱教室」を12回にわたって興味深く見た。政治哲学マイケル・サンデル教授。大講堂には1000人もの学生が押し寄せ、教授からの質問に答える。具体的な例を挙げて、この殺人は許されるか否か、理由は、税を払う根拠、同性婚、中絶の是非等々。学生同士も討論をし合う。何かに直接役立つ小手先の知識ではなく、自らのよって立つ、人を説得しうる哲学である。
  知性。ああ、こういう授業が必要なのだなとつくづく思う。日本はすべてにわたって軽薄短小のハウツーものばかり。だが、国際社会では付け焼刃ではない本物の知性がないと尊敬はされない。それがないから政治も人も軽いのだと、ただ納得させられる。

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