執筆「感謝しながら生きたい」

 人は、受精の段階で、ほぼ決定づけられている。と最近、気がついた。DNAはいわずもがな、生後の環境もまた大きく親に左右されるからだ。
  もちろん、与えられた遺伝と環境の中で、人は精一杯の努力をすべきである。それが人のあるべき姿だ。
結果はどうあれ、努力する姿それ自体が美しく、人をいたく感動させる。
  ただ、努力できるというのもまた、一つの資質であるらしい。勤勉性。責任感。目標達成意欲ないし遂行力。
見渡せば、何事にも意欲的に取り組む尊敬すべき人がいる反面、何事にも不真面目で投げやりな人もいる。
  たいていの人は、私を含めその中間で、努力するときあり、しないときあり。これは対象への能力や適性と大いに関わるようだ。
つまり人は好きなこと、やりたいことはやる。また、出来ることは気楽にやる。
最近私は、ストレッチをしないとますます体が堅くなって、いずれ腰が曲がるよと脅されるのだが、生来運動が嫌いなので、ついやらずに日が過ぎる。
  人はかく既定された存在だが、せっかく生を受けたのだから、親に始まる様々の御縁を大切にし、人のお役に立てることに喜び、
「一隅を照らす」存在になれればと願う。人生の有限を悟り出してこの方、どの人も愛しく見えてみた。
生老病死の宿命を背負って生きている人間。自分にあるものに感謝し、人がしてくれることに感謝しながら生きようと思う。
  書くことはとても好きで、あっという間の半年でした。 お付き合い下さった皆さま方に心から感謝します。

東京新聞 夕刊 『放射線』
(中日新聞 夕刊 『紙つぶて』)

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