執筆「スポーツ界で活躍する若者に 準備する努力の大切さを学ぶ」

 日本体操、復活である。
 北京五輪個人総合で銀を獲得した内村航平が、10月、ロンドンで開催された世界体操競技選手権大会で、ついに金に輝いた。弱冠20歳。女子も、17歳の鶴見虹子が個人総合銅を獲得した。日本女子体操では43年ぶり、2人目の快挙だという。彼女、種目別の段違い平行棒では銀を獲得。ブラボー!
 体操は高度な技とともに美を競うスポーツである。といえば、フィギュアスケートもそうだ。なぜかここ数年、日本が圧倒的に強い。やはり10月、グランプリフランス杯で織田信成(22歳)が優勝。浅田真央は2位だったが、続くロシア杯では安藤美姫が優勝した。
 2つの競技は、どの一つの演技を見ても人間業とは思えない。平均台の上を歩くだけでもすごい。氷上を滑るのは至難の業だ。それを3回転、4回転、捻り技……。目にも止まらぬ早さで正確に体を動かす彼・彼女たち。脱帽である。
 本番で難技を決めるには練習で120点が出ていることが必要だとよく聞く。100点満点でも不完全、それ以下は論外だ。余裕をもって毎回確実にこなせる程度でないと、本番での成功は望めない。まさに血のにじむような努力が、笑顔で披露される演技の背後に連綿として続いているのである。
 これは極端な例だとしても、我々にも同じことが言えるのではないかと思う。よく出来る人ほど実は日ごろ、たゆまぬ努力をしている。運よくたまたま成功なんてことは、それこそめったに起こらない。決して手を抜かず、万全の準備をしたうえで、本番に臨むべきなのだ。「人事を尽くして天命を待つ」。天命を待つために人間は己のできることはし尽くしておかねばならないのである。
 真剣勝負の若い競技者に学ばされる。

自由民主党女性誌 『りぶる』

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