天皇制、皇室典範改正に思うこと

 今回大きな関心を巻き起こした世論は、今上天皇の次は直系相続で、愛子天皇でいいんじゃない? 男女同権のこの時代、男系男子に限る必要はもはやないし、事実ヨーロッパの各王室は男女を問わず長子継承にしているではないか。そして、愛子さんはもちろん結婚するだろうから、その子供が次の天皇になって引き継がれていくのでいいのじゃない?(次の天皇は男女を問わず、女系天皇となる)。といったどちらかというと軽いノリのように見受けられる。その中には、今上からは傍系になる秋篠宮→悠仁殿下と比べて、愛子さんのほうが優れているといった論調さえまま見られるのである。

 しかし次の天皇が秋篠宮文仁親王になることは、2020年11月8日に立皇嗣の礼が行われていることからしてもはや既定事実であるし、その次がその子息である悠仁殿下であることも既定事実である(その次がいない)。皇位継承は人気投票ではないので、どちらがより優れていて、国の代表者に相応しいかを個別に決めるものではなく、決められた順位通りに進めていくものなのである。今回の改正の主眼点は、皇室メンバーがどんどん減り続ける中、皇室行事の担い手をいかに確保していくかであり、女性女系天皇を是として大改正をかけるかといった議論ではそもそもなかった。ただ、旧宮家出身者の中で15歳以上の未婚男子が望めば、現宮家と養子縁組をし(皇族が増える)、その男子が将来結婚して男子が生まれれば(その子は皇族として生まれて育つのだから)皇位継承権を有する扱いにするということが物議を醸したのである。実際に、そういう男子がいるのか、いたとして(自由な環境を捨てて)宮家の養子になりたいと手を挙げるのかは未定であるし、その子がいずれ結婚して男子が生まれ、皇位継承するほどの年齢になるのには30年やそこらは経つだろう。A氏が自分の姪を通して藤原家になるのを意図していると巷間言われているのは、つまりは現実的な話ではないのである。

 600年前に現天皇家と血続きであった「養子」が皇位を継ぐのは、憲法2条にいう「世襲」とは言わないであろうと思うが、であっても皇位継承者が全くいない現実よりはマシであろうから是とすべきと言われれば、あえて否定はしないでおく。そもそもGHQが旧宮家の皇籍離脱を進めたときは昭和天皇には3人の弟君がおられたし(うち2人は子供を為さず、宮家は断絶した)、その後はなぜだかどの宮家にも女子しか生まれず、男系がこれほど早く途絶えることになろうとは予想していなかったと思われる。であっても側室のない、一夫一婦制では早晩皇位継承が行き詰まることは、自然の摂理であった。徳川15代を見よ。側室は一杯、御三家に御三卿といった分家を設けても後継は難儀を極めたのである。これまで長年にわたって歴代の天皇の血筋が続いてきたのは、もちろん数多の側室のお陰である。継承に直系はむしろ例外で、傍系なり、何代も遡って、といったことで繋いできたのである。

 今のところ、悠仁殿下の次は、殿下が結婚して無事男子が生まれたという、極めて僥倖な場合に限られる。皇后になりたいと手を挙げる女性がさほどいるとも思えないし、また不妊カップルは大変多い。男系が悠仁殿下以外おられないので、その場合は上記の「養子」に期待をするしかないのだろうが、それもレアケースであろう。私は、可能性をできるだけ広げるためにも、女子の選択肢をも含めるべきだと思うのだ。愛子さん佳子さん…その子孫まで可とするのであれば選択肢は少しは広がるであろう。もちろんそのためには皇室典範を大きく変えないといけないのであるが。急がないと、両者とも結婚して皇籍離脱をしてしまうかもしれない。なにせその夫・子供は平民扱いで自分も住民基本台帳に掲載されるというのが今回の改正なのだから。

 日本国民は天皇制が不可欠のものだと思っているのであろうか。日本国憲法を読んでこれが日本の憲法だと分かる所以は「天皇」である。天皇のなり手がいなくなり天皇制がなくなれば、国体が変わる。大日本帝国憲法には元首は天皇とあるが、日本国憲法にはその規定はない。それでも日本の元首は天皇であると外国では扱われている。天皇制でなくなれば共和制となるのだろう。万世一系の天皇は男系でないとダメなのよ、と大見得切っているが、それが根こそぎ崩れてしまうのだ。その場合、大統領を元首として国民の選挙で選ばれることにするのだろうか。そうなれば日本という国柄自体が崩壊し、歴史が埋没してしまうことになるのではないだろうか。

 

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