木原誠二氏案件、その後…

刑事告訴は未だになされていない。やったことは妻の代理人が弁護士会宛に人権救済の申し立てをしたことだけである。それも最初は法務省宛にするつもりが、行政機関に対してするのは政府トップにある自身の立場上まずいということで(そんなことは私が前回のブログに書いたように、普通に考えて分かることである)、急遽弁護士会宛に変えたというのだから、ちょっとお粗末である。何よりもすごいことは、未だ一切の会見がなされておらず、明らかに一切の取材を避けていることである。官房副長官の公務よりも「家族のケア」という私事が大切というのならば、職は辞すべきである。任命権者である首相がどう考えているのかも全く見えてこないのは、不気味である。
この間、文春はスクープ第4弾で、10頁以上にわたる特集を組んだし、そこに出てくるS元警部補(昨年退職済み)による、なんと実名での会見も行われた。S氏が異例の取材なり会見に応じた動機は、自分たちが真剣に捜査をしていたのに突然、上から捜査終了と告げられたうえ、先月警察庁長官が「事件性がなかった」と述べたのが「頭に来た。現場の警察官をバカにしている」と義憤に駆られたからである。事件性がないはずはない。なければ12年を経て再捜査に踏み切るはずはなく、その際警視庁捜査一課を主とした30人体制が組まれ、Yの供述を引き出すために30回も宮崎刑務所に出張することなどできはしない(複数で赴いているはずで、交通費宿泊費その他を考えると、総額1000万円位にはなるのではないか)。それが途中で急に止められた背景には、高度に、政権からの差し金があったことが伺える。

そもそも警察に押収されたドライブレコーダーに、木原氏が警視庁での取調べ後の妻に対して「俺が手を回したから大丈夫」「何も喋るな」と言っているのが残されているのだ。タクシーはタクシー強盗などに備えて録音録画をしている。警察の要請があれば当然提出する。ドライブレコーダーのことを知らなかったとしても、運転手という第三者がいる所でそんな話は普通、しない。家に帰って、誰もいない所でしか言えない話のはずだが、それこそ警察が喝破したように「東大出のボンボンで、脇が甘い」というより、常識が欠けている証左であろう。誰かもっと有力な方に入ってもらったのであろうが、当事者である自分が働きかけたのは事実と思われるので、名誉毀損の告訴もできなければ、会見も開けないという八方塞がりになっているのであろう。このままだんまりを続けていれば、人の噂も75日で、皆忘れてしまうと思っているのだろうか? まさか。ことは殺人事件が闇に葬られたという、恐ろしい案件なのである。

本当はYが実行犯ではないかと前回書いた。しかしYは外されているそうだ。なぜならば、被害者の死亡推定時刻は前夜(4月9日)の午後10時頃。Yが被害者方に来たのは(Nシステムの解析により)午前零時頃だからというのだ。しかし、解剖を実施したのは10日だから(午前ではなく午後だったかもしれない)、2時間程度のずれがあるのは珍しくない。そもそも食べ物の消化具合で、食後すぐとか何時間後という割り出しをするので、食事時間についてX子がずらせばそれも異なってくる。非力な女性X子だけでは実行できないから男である、を下敷きに推論すれば自ずとYになり、Yは警察に嘘の話をした…ということになるのだが、S氏は、YではないZを実行犯として挙げている。それを実名にすればそれこそ名誉毀損で訴えられるかもしれないので、だいぶぼかしているが、素直に読めばZがX子の父親であることは浮かび上がってくる。YがX子によばれてその家に行ったときには、Zがすでに殺人を犯して帰っていたのであれば、ストーリーはクリアになる。

そもそもこんな残忍な殺害方法は、相手に対してよほどの恨みがないと出来ない。愛娘を大事にせず、生活費も入れず、池袋のキャバレーで働かせるような婿。娘とは不仲で、だから子供を連れて逃げていたのに無理矢理連れ帰られ、子供2人の親権は欲しいなどと言う。そもそも家だって、自分のものなのだ。ろくでなしの婿…激昂して、思い切り残忍な方法で殺害した…という見立ては成り立つ。大学時代ボクサーでもあったし、一発殴れば相手は失神して、その後やりやすいだろう。しかし、あくまでこれは推理でしかない。S氏も、実行犯Z説は自分の説で、再捜査班全体で共有されていたとは言っていない。証拠も少ないと言っている。Zは近くに住んでいたようで、歩いて向かって帰ったのだろうから、その日犯行時刻頃そこにいたという証拠もおそらくないのではないか。自分の家だし娘夫婦に住ませているのだから、何度も行って指紋だってあちこちに残っているのは自然である。

夫が無惨な死を遂げたというのに、その夜X子は近くの居酒屋で祝杯を挙げている。笑顔にピース(同席したYは笑っていない)。よほど夫に恨み辛みがあったのであろう。ざまあみろ、という安堵感達成感で一杯だったのだろう。夫がいなくなれば離婚の要もなく、子供の親権や面会交流などと主張されることもない。厄介払いが出来て万々歳、ということか(コワい)。そして父親は娘と一体になって、強い殺意をもって婿を刺した、そのうえで自殺として処理されるよういろいろ指示をした、なにせ警察官なのだし、そこは素人と違って頼り甲斐がある…。

以上の推察はできる。自殺ではない、他殺だとは思われる。だとして、誰が殺したのか。それが特定できなければ…アイツだ、アイツしかいないと諸事情から高度に推察できても、それだけでは起訴はできない。それでお蔵入りになった事件はたくさんある。無理して起訴をしたものの「疑わしきは罰せず」で無罪になった事件もいくつもある。もし、そこに「自白」があれば、大丈夫である。X子が実行行為に何らかの関与をしていたのであれば(例えば包丁を手渡したり、体を押さえたり)普通の共犯だし、ただ殺意を共にして共犯者に実行させたのであれば共謀共同正犯であって、いずれにしてもその供述は「共犯者の自白」であり、実行者が否認のままでも十分に立件できる。いずれにしてもX子の自白が欲しいので、S氏もそれが故に何度も取調べをしていたのである。だがX子は口を割らない。ましてや父親のことなど決して言わないであろう。いちかばちかZの逮捕に踏み切ったとして(そもそも逮捕状が出るほどの証拠があるだろうか? Z方を捜索はしたようだが、捜索差押令状のハードルは逮捕状と比べられないほど低い)知らぬ存ぜぬで通されれば、起訴などできない。

なぜ他のマスコミが取り上げないのか、ワイドショーでやらないのか、といった意見が大勢を占めているようだし、政権や警察に遠慮している、圧力をかけられていると言っている人も多いようだが、推論だけしかない本件では、もしX子なりZから訴えられれば名誉毀損になるおそれも高いのである。それが分かっているから、どこも流さないのだと思われる。もちろんこれは公人である木原氏のもみ消し疑惑とは別の話である。
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