一気に秋、連休最終日は大相撲に行ってきました

稀勢の里の復活がかかる、この秋場所。連日満員御礼だ。9日目は和装デーで、和装での来場者には記念品が配られるとか、入り口近くに長蛇の列ができていた。地下1階での恒例ちゃんこ鍋は、今場所は高砂部屋。塩ちゃんこ1杯300円はとても美味しかった。「相撲博物館」では没後50年の「相撲の神様」双葉山展をやっている。目元の涼しい、風格ある美丈夫姿に息を呑む。直筆の書状の、なんという流麗さ。そういえば、69連勝が止まった後「われ未だ木鶏足り得ず」(荘子)の電報を打ったという、教養の高さである。

午後2時に席に着くと、十両の取組み初めに、幕下の上位対戦をやっていた。見応えのある攻防が続き、まもなく十両、そして幕内になる。横綱土俵入りは一番目に稀勢の里が登場。色彩は赤でまとめている。なにせ8場所続けて、途中休場やら休場だったので、稀勢の里の横綱土俵入りを見るのは初めてである。堂々としていて、ほっとする。内心はどれほどか辛く、悲壮感が漂っているだろうと思うのだが。

場内は贔屓力士への歓声やら垂れ幕やら(名前を刷ったタオルが多いように思う)、まるでお祭り騒ぎである。立ち合う前は静かにしてあげないと力士はやりにくいと思うのだが、喧騒の度合いはこのところだんだんと大きくなっているように思う。大相撲観戦歴も優に10年を超えるので、もはやたいがいの力士の顔と名前は一致するのだが、たまに新顔がいたりする。そういう場合はネットでチェックできる、便利な時代である。

稀勢の里は5時半頃、東側花道から登場した。そして東側審判貴乃花親方の右隣に座ったところで、客席からも一斉にフラッシュがたかれる。話題の2人である。土俵上は白鵬対御嶽海。大関獲りのかかる御嶽海、出だしこそよかったが途中動きを止めてしまい、その間に白鵬は冷静に立て直して相手の足を蹴り、一気に寄り立てた。さすが横綱だ。続いて鶴竜対遠藤。そして結びの一番が2敗稀勢の里対3敗栃ノ心。場内、割れんばかりの稀勢の里への声援だが、表情は変わらない。辛いだろうなと思う。負けて3敗になれば、一気に引退が近づく。本当に孤独だなと思う。応援してくれる人がいくらいたところで、戦うのは自分一人。誰にも頼ることはできない‥。

場内が息を呑んで見つめる間、稀勢の里は冷静に左四つに持ち込み、そのまま巨漢を寄り切った。もしかしたら今場所一番の内容ではないか?(栃ノ心もやはり休場明け、状態が万全ではないのだろう)。場内一斉に広がる安堵感。余韻に浸りながら入口に向かうと雨が降っている。本降りだ。どんどんひどくなり、持参した小さな傘ではまるで間に合わず、びしょぬれで帰宅した。だけどそんなこと、なんということはないのだ、稀勢の里が勝ったのだから。もし負けていたら、何重もの災厄だと恨んだろう。贔屓のスポーツマンの勝敗はそれだけの大きな力を持っている。有名になるということは、それだけ大きな責任を背負うということなのだ。

わずか20歳で全米オープンを制した大坂なおみ。メジャーで20本の本塁打を打った大谷翔平‥。全力を出し切ったスポーツマンの姿は、見る人に無条件の感動を与えてくれる。スポーツは苦手で、自身は何もしないが、見るのは本当に楽しい。観戦できないまでも、テレビでいろいろ見ることができる現代は、なんと恵まれていることだろうか。スポーツではないが、上野都美術館での「藤田嗣治展」も見ごたえのある作品が並んでいて、一見の価値はあった。

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