世の中の景色がどんどん変わっている…

昨夜急に、ある本が欲しくなった。欲しいとなると何であれ矢も盾もたまらなくなる性格なので、明日(つまり今日日曜日)買いに出ようと考えた。ただ、特殊な物なのでまずはネットで取扱い店を調べなければならない。在庫があるかどうかもわからないので、明朝開店早々、その旨確認してから行くことにした。

でネットを開いたとき、特殊なものではあるがもしかしてアマゾンとか扱っていないか? 物は試しと閃いて、検索したら、なんとヒットしたのだ! びっくり。ただ発送はすぐとはいかず数日後だったが、贅沢は言えない。その際、私の購入履歴からいつものように私へのお勧めの本がついでに出るので、つられてそちらもクリックしたら、なんとこれは「明日発送」だ。土曜夜遅くのクリックでまさか日曜配送?間違いじゃないと思ったが、本当にまもなく配達されるようだ(配送状況のメールが来るので、そんなことまで分かるのだ)。これもびっくり。

信じられないような便利な世の中になっている。と同時に、これじゃ本屋はやっていけないと了解する。次々と閉店に追い込まれ、すでに4割位になっているらしい。私の自宅近くの本屋も2軒なくなった。新宿に行くとよく顔を出していた大きな本屋もなくなり、寂しい。文房具店も次々となくなっている。事務所ではほぼすべてアスクル注文だし、それでは賄えない特殊な文房具は近くにあった大きな文房具店を利用していたのだが、それも昨年閉店し、あとは銀座に行かないといけなくなったようだ。ネット通販の拡大によって、廃業に追い込まれた業種が実に多い。アパレルだって、通販購入者が多いので、アパレル業者はもちろん、アパレルで稼いでいた感のあるデパートもやっていくのが大変である。

さて、日本の空き家率はすでに7軒に1軒だという。とくに地方の空き家率は高く、少子化に伴って今後ますます増えて、いずれは3軒に1軒の空き家率になるのだという。こわい。一軒家はもちろん、マンションも空き室が多いと管理費・修繕費も集められず、管理は杜撰になってマンションは荒れ放題になり、管理組合で何か決めようにも住人がいないとあっては決めることもできなくなってしまう。

それなのに、マンションがどんどん建っているのはどういうことだろうか。地主やサラリーマンにマンション・アパート経営を勧める広告が引きも切らないのはどういうことだろうか。借金してまでの建設ないし経営が成り立つのは、もちろん住人あってこそである。空き家になれば家賃も入らず、借金も減らない。恐ろしい事態になることは、簡単に読める。その昔バブルの頃、銀行に勤める友人が、土地は上がり続けるという「神話」を信じていたので、正したことがある。「だって考えてみてよ。価格が上がるのは需要と供給のバランスで需要のほうが多いからでしょ。でも子供の数はこれから減り続ける。一人っ子同士が結婚したら、どちらかの家は不要になる。売りに出すことになるから、供給のほうがどう考えたって多くなるじゃない」。と言うと、彼は素直にびっくりしていた。

世の中は恐ろしい速さで変わっていく。空き家問題のように、冷静に考えれば読める変化もあれば、科学の進歩がすご過ぎて読めない変化もあるだろう。AIですたれる職業もたくさんあると言われる。弁護士業だって、それこそ供給を増やしすぎてやっていけない人が増えてきた。私は弁護士会の懲戒委員会にいるが、今や最もありふれた懲戒理由が「弁護士会費の未納入」になってしまった。東京では、総額100万円以上の未納で「退会命令」が普通である。月4万円の会費が払えない。弁護士業がやれなくなることがわかっていて、それでも100万円が調達できない。となれば冗談抜きに、食事にさえ事欠いているのだろう。なんとも切ない話である。

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