猛暑が続きます‥国の内外あれこれ

先日、合調停委員の男性(調停は男女一組。私が弁護士なので相手は一般の男性である)が笑いながら言った。「近頃語彙が不足して、暑いしか言わないですよ」。本当に。暑いと頭もなかなか働かない。この1週間ほどは夜も25度以下にならない熱帯夜が続く。おそらくすでに梅雨は上がっているのだろう、東京は空梅雨だった。一方、福岡・大分では狂ったように雨が降り続き、未曾有の大災害となった。被災者は本当にお気の毒で、言葉もない。今や日本中、どこで暴風雨や地震など、何が起こるかまったく読めない。夕立は死語になったようで、先ほどから来ているのは、ゲリラ豪雨である。

さる2日、自民党が都議選大敗を喫してから、半月が経過した。都民ファーストに期待をして入れた票というより、既成政党に嫌気し、その受け皿として機能したのが同党だったのだろう。いわゆるモリカケ問題への傲岸不遜な対応、共謀罪(テロ等準備罪と名称は変えたが)の強行採決、加えて豊田真由子議員の暴言・暴行、稲田防衛大臣の失言(では済まされない。公務員・教員の政治的中立性は法律以前の常識の範疇である)などが重なり、自滅した感が強い。当然ながら、内閣支持率は急降下。回復する術は、残念ながら、見当たらないのではないか‥。昔から言う、権力は腐敗すると。権力は謙抑的に使われるべきなのだが、当の本人らには見えなくなってしまうのだろう。周りが諫めても、聞く耳を持たなければ同じだし、諫める人さえいなければ何も見えようはずがない。

トランプ政権が危機である。ロシアによる大統領選介入「疑惑」が明らかになった。長男Jr.がこの度、ロシア関係者とのメールのやり取りの詳細を、いとも簡単に、ツイッターすることで共謀の事実を自ら暴露したのである! 弁護士に相談をすれば、止めたはずだ。自ら内部告発者(deepthroat)になって何の得がある?! すべてを明らかにすることで、正直者に見られたいって!? まさか。Jr.=idiot。新聞の論評のみならず、テレビのパーソナリティーらにまでここまで徹底的に馬鹿にされては、私などはもう恥ずかしくて、生きてはいけない(アメリカのメディアは驚くばかりに何でもありだ。日本は倫理規制に引っかかることもあり、極めて抑制的である)。昨年、クリントン陣営への打撃情報を期待してJr.がロシア政府の弁護士とトランプタワーで面会した際には義弟のクシュナーも同席していた。この度のG20ではトランプは、自分はプーチンと話があると席を離れ、元首らの間に娘のイヴァンカを座らせていた! ありえない。誰も止めないのか? お友達内閣ならぬファミリー政府。独裁国にはありえても民主主義国家にはありえないことが、アメリカで容易に起こっている。今に至るも多くの政治任用官僚高官ポストが埋まらず、行政の停滞は甚だしい(良識ある人はトランプの下で働きたくなく、受けないのである)。まるで漫画のような、メディアに品の悪いネタを提供し続けるこの政府は、一体いつまでもつのだろうか。

3連休は暑いので、できるだけ出ないこととし、たくさん持ち帰っている法律雑誌やら資料やら本やらに目を通していた。朝から効率良く、一つ一つ片付けていくと、とても嬉しい。合い間に楽譜を見たりピアノを弾いたり(最近はベートーベンの後期ソナタに塡まっている)、歴史の本を読んだりすると、息抜きになって、とても楽しい。もともと完全にインドア派なのだが、暑い時はなおさら家にいるのが一番である。

稀勢の里休場で熱が冷めていた相撲だが、満員御礼が途切れない。理由は若手の台頭であろう。ことに業師の宇良、先月25歳になった。同学年の御嶽海や2年先輩の遠藤のような学生横綱・アマチュア横綱を経て幕下10枚目突き出しで登場した相撲エリートとは違い、174センチの小兵だ。レスリング経験があり、初の関学出身である。大学時65キロしかなかった体重を徐々に増やし、前相撲から序ノ口、序二段、三段目を各1場所で駆け上がり、幕下もわずか3場所で通過した。これは歴代4位のスピード昇進だそうだ。十両でも負け越しはたった1場所。初入幕から2場所勝ち越して、今場所4枚目にいる。遠藤らの休場で、本来の番付では当たらない横綱との取組みがあり、一昨日白鵬に敗れたが(白鵬は初顔を一方的に瞬殺するのだが、健闘した)、昨日日馬富士から金星を取った。腕を取る「とったり」。何をやってくるのか、読めない力士である。技のデパートと言われた小兵舞の海を思い起こさせるが、身体能力その他舞の海を越えるのではないか。ありえないほどの順調な出世の裏には、ありえない努力があるはずだ。無差別級の格闘技で、重い力士の押し出しばかりを見ていても、つまらない。居反り(そして足取り)の宇良は、相撲に新風を持ち込んだ。怪我にだけ、どうか気をつけて、ますます相撲を面白くしてほしい。

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