予算委員会質疑に思うこと

普段はあまり見ないのに、このところ、予算委員会質疑をよく見ている。森友学園事件があまりに面白いからである。理事長夫妻のキャラも、学園の性質も、国有地を破格の安値で得た経緯も、規格外の認可を受けた経緯も、すべてがあまりに現実離れしていて、もし小説やドラマだったら、冷笑していただろう。まさに「事実は小説よりも奇なり」。不可思議な真実を知りたいと国民の多数が願っているはずである。

参議院議員になって、予算委員会には驚いた。「当番だよ、早く行って」、それって何? 地元行事だか何だかで自民党予算委員会委員に一定数の欠席者が出るが、テレビ放映で空席は目立つ。で新米議員が当番で行き、空いている席のどこでもよいからとにかく座るのだという。行ってみると、野党女性議員が質問をしていた。在某国の日本総領事が妻を殴った云々…? たしか新聞で読んだけど、これが予算にどういう関係があるの? と言うと、先輩議員いわく「予算委員会は何だって聞けるんだよ」。へえっ。

実際のところは、何だって聞けるというよりも、予算については何も聞かないといったほうがむしろ正しい。政府予算案は具体的な項目・金額を積み重ねたものである。野党がこれを無駄遣いだとして反対するのであれば、一つ一つを質し、そんな項目は不要だ、必要だとしてその金額には根拠がない…といった具体的な議論をすべきである。であれば、一定の日にちが経てば委員会は終わる。ところが、そうした質疑は一切なくて、スキャンダルその他、選挙区向け国民向けのパフォーマンスが横行する。そうして最後の採決で予算案は、与党議員起立のうえ、多数決で可決される。野党は反対と叫ぶのであるが、ではどういう予算になるのか完全に白紙のままなのだから、ためにする反対でしかない。一体、どうなっているのだろう。と思いながら6年が経ち、引退してすでに13年が経つ。

森友学園事件も面白いのだが、冷静に考えて、そんな内輪話で盛り上がっている場合なのであろうか。北朝鮮は暴発、韓国は大統領が初めて弾劾罷免され新大統領は革新系になるという。アメリカはトランプ大統領でしっちゃかめっちゃかだし、ヨーロッパはイギリスのEU離脱に始まりフランスその他も移民排斥に動いている…シリア問題やIS問題その他中東は相変わらず混沌とし、トルコは大統領の権限をさらに強化すべく憲法改正に動いている…この中で長く在任をしている安倍首相は、日本の首相としては珍しく世界に存在感を示しているというのに、こんなことに精力を取られているのは、あまりにもったいないことだと思える。野党ももっと広く世界に目を向けてもらえまいか。

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