躾とは姿勢を良くすること──林先生の名言

先日夜たまたまテレビをつけたら、「いつやるの」「今でしょ!」で有名な林先生がお母さん方を相手に講義をされていた。黒板に書く昔ながらのスタイル(私もそうだ)。いわく、「躾とは姿勢をよくすること」。集中力がない、大きな声が出ない、当たり前です。姿勢が悪いのだから。学術的な裏付けがあったわけではないが昔の人はよく分かっていましたね、物差しで叩いて姿勢をぴしっとさせる、肘をつくなと注意する。姿勢が良いからこそ勉強も出来る、本も読める、勤勉でいられる。先生いわく「姿勢の良い不良なんかいますか!?」(笑)。もちろん、いませんよ。

非行・犯罪少年を相手にして、いつも思っていた。きちんと座って、人の言うことをなぜ普通に聞けないの? 姿勢を直すように言っても駄目だった。林先生が「姿勢を良くするのは3つから10歳まで」と言われるように、骨組みがもう固まってしまっているのだろう。現れた親もたいてい同じような姿勢で、まともに向き合わない。この親にしてこの子あり。「なんでですかね、検事さん。いつも勉強しろ、無駄遣いするなとずっと言ってるんですけどね、聞かないんですよ」。子供は親の言葉を聞いているわけではなく、態度を見倣っているのである。まさに、親の背中を見て子は育つ。

林先生いわく、「皆さんの子供さんたち姿勢悪いでしょ。なぜなら皆さんが悪いから」。脚を組んだり、肘をついたり、どうやってこんなお母さん方ばかりを集めてきたのでしょう。質問をして言うには、「ゲームやらせないと周りについていけない」「夫婦共働きで8時にしか戻らないのでその間ゲームをやってもらわないと(←林先生、「ゲームじゃなく本読ませてほしいですけどね」)、「家で姿勢よくさせても学校の先生が注意してくれないから悪くなる」…。みな見事に人のせいである。不良少年の親たちがよく言っていたのを思い出す。「学校が悪い、先生が悪い、友達が悪い…」。本人が悪いとも、まして自分たちが悪いとの反省も聞いたことはまずない。

「生活指導は家庭で、学校は学習指導に特化」でないと、先生は疲弊してしまう。生活指導で手一杯の教師が熱心に学習指導ができるはずもない。難しいことは何もない、結局は基本なのである。家庭できちんと躾け(姿勢を良くさせて)、人の話を聞ける子、勤勉に学べる子にする。学習の基本は、読み書きそろばん。ゲームやネットなんて、軽薄短小の人間を育てるばかりではないか。先日、長く公立大学で教えている友人が、我々の頃に比べてみなが幼稚になっていると言っていた。つまりは歴史や国語をきっちりと学んでいないから。本を読み、自分の頭で考えられる人間が育っていかなければ一体この国はどうなるのであろう。

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