2011年に思うこと

 何やかやとばたばたしているうちに、今年ももう残すところ、あと僅かである。今年は大震災(及び原発事故)が起こったために誰にとっても特別の年であるはずだが、私にとってはさらに別な意味で特別な年となった。

 一つには仕事上でいろいろあったことだが、守秘義務もあり、こちらの話は伏せておく。弁護士生活も早いものでこの7月で7年が満了となり、新たな気持ちで仕切り直すべきだとの思いを持つ。もう一つは、親しい人を続けざまに亡くしたことだ。9月の2人についてはすでに書いたが、さらにこの7日、30年来交遊のあった神戸の漢方医が食道癌で亡くなった。70歳。葬式も墓も要らないとの遺言で、ぎりぎりまで診察に携わっておられた。人の間の親しさは、距離に反比例し、時間に正比例するものでもないとつくづく思う。どの方も私の人生に強烈な足跡を刻み、生きている限り、その思い出が消えることはないだろう。

  故人の娘さんから丁寧なお手紙を頂き、また先日は、いつもお父様が送ってくれていた歳暮の黒豆が、今度は娘さんから届いた。電話で初めて、話をした(遠方のためお葬式には行けなかったので)。故人の意志を継ぎ、その築いた人間関係を遺族が大切にしていく。今時珍しいほど、良い話ではないだろうか。良い話といえば先月末、かつて親しくしていた韓国の検事(今弁護士)が弁護士会の用事で上京するからと連絡をくれ、短い滞在期間に2度会った。事務所にも訪ねてくれた。かつて日本はもちろんカイロやソウルでも会ったことがあるが、この12年間音信が途絶えていた。しかしそんな間隙などまるでなかったように、親しく話をすることができた。人生の一番の財産は人間関係だと、しみじみと思う。

 そしてもちろん、自らが健康であること。当たり前の普通のことが一番の幸せだとの思いを今年は新たにさせられた。思いきって11月、胃カメラと大腸内視鏡検査(オリンパス!)を受けてみた。受けるまでのほうのストレスが大変だったが、結果は大丈夫で、ほっとする。年を取るにつれ、大きな夢はなくなり、願いがだんだんと普通になっていく。年を取らなければ分からないことが、人生にはきっと、たくさんある。

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