執筆「今,現場で起きていること。 教師と親と子の関係を考える」

 昨春、親しい知人が教職をやめた。
 彼女は大学を卒業後、公立小学校に26年勤めた。定年まであと12年残していたが、とにかく辞めたかったのだと言う。
 ずっと熱心に仕事に取り組んでいた彼女が、愚痴を零すようになったのはここ数年のことである。ちょうどその頃マスコミで、荒れる学校が取り上げられるようになっていた。
 少子化で学校規模は小さくなり、加えて少人数学級制だから、相対的に個の比重は高くなる。中で一部問題児がいじめを引き起こし、暴れ、授業を妨害する。親は親ですぐに学校に怒鳴り込んでくる。「教育委員会に訴える。訴訟を起こす」。校長が事なかれで平謝りをし、さらに事態はエスカレート。気の毒なのは巻き添えを食う普通の子ども、親たちである。
 残業手当も出ないのに、夜は残ってペーパー作りをするそうだ。管理者向けの評価書である。そうやって萎縮し疲弊し、本来は子どもに向けるべきエネルギーが燃え尽きた。このままだと自分が死んでしまう……。
 思い切って辞めて1年、今はジムや資格の学校に通いながら、彼女はほっと自分を取り戻しているという。あなたは独身で気軽だからやめられていいよねと、同僚たちが羨ましがるそうだ。

自由民主党月刊女性誌

『りぶる』
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