菅原一秀さん議員辞職…

関西ではとうに梅雨入りし、こちらでも雨が降り続いているようなのに、梅雨入りはまだだそうだ。本当に天候不順である。コロナ禍という、ある意味での戦争が続いていて、「平和の祭典」どころではないだろうと思うが、オリンピックはどうやら、本当にやるらしい。

もう1年も前になるが、昨年、菅原さんの寄付行為について検察が起訴猶予にしたのはおかしいではないかと、某週刊誌からコメントを求められ、お断りしたことがある。正直、まあそれくらのことでそうとやかく言わないでもいいのではないか、と思っていたのである。寄付行為はせいぜい罰金であり(公職選挙法上、1年以下の禁錮又は30万円以下の罰金)、例えば河井夫妻の買収事件と比べればあまりに小さく、また以前、別の議員の明らかな寄付行為が不問に付されていること(例えば、自分の写真入りワインが選挙民に配られていたケースもある)などを考慮していたのである。なんであれバランスが大事である。

ところがどっこい。申立てを受けた検察審査会が起訴議決をした結果、検察は一転、略式請求を決めたのである。本人が事実を認めている以上(だからこそ不起訴理由は「嫌疑不十分」ではなく「起訴猶予」であった)、検察が略式請求にしてやるというのを拒否して、わざわざ正式起訴をさせる(そして時間稼ぎをする)というのは筋が通らず、略式請求には応じざるをえない。応じれば判決はすぐに出て確定し、罰金と共に3年ないし5年の公民権停止がついてくる。つまりは失職するのだから、その前に自ら議員辞職をしておくべきだ。となると秘書らも失職する。まだ59歳。公民権停止期間を徒過して再び選挙に出る…ということは事実上難しいだろう。経産大臣まで歴任しながら、なんとまあ呆気ない幕切れだろう。

という次第で、私は昨年7月の自らの不明をことのほか恥じることになった。仮にも公職選挙法違反である。綺麗な選挙のためには、各人が襟を正して、きちんと法律を遵守すべきなのだ。ちょこちょことした額の寄付を総額30万円程度とはいえ、それは当然罰せられなければならなかったのである。そもそも公職選挙法違反への対処は重くなっている。数年前に弁護した買収案件は、いわゆる日当買収だったし、総額16万円程度であり、検事時代の感覚では罰金で済んでいたので担当検事(知り合い)にその旨頼みに行ったところ、「先生。買収は厳しくなっていて、10万円を超えたらもう罰金では済みませんよ。起訴ですよ」と言われたのだった。新聞にも極悪非道のように実名掲載されて、時代は変わったものだと思っていたのである。

とはいえ、某幹事長の、「選挙はすっかり綺麗になり、お金は絡まなくなっている」趣旨の発言にはずいぶんと白けた。まさか。河井夫妻の買収事件は!? 元はといえば党からの1億5000万円の不透明な支出が根源にあるし、広島の地方議員らが多数買収され、本来であればその全員が被買収罪として公民権停止(=失職)になるべきだったのだ。検察では事件が検察審査会に行かないよう、立件さえしなかったと聞いている。

コロナ戦争も終わりが見えない中オリンピックは強行され、内閣支持率はだだ下がり。そんな中、近いうちに解散総選挙が行われることは確実である。菅首相がもつのかどうか、ポスト菅は誰になるのか…。

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