総選挙結果について思うこと

事務所を閉める今日になって、ようやく総選挙結果について書く気になっている。14日の後、当ブログにアクセスして下さった方々には申し訳ない。

この間様々なコメントを読んだ。経済至上主義になり、国全体が株式会社化しているので、政治もトップダウン式のやり方が好まれるようになったとの意見も一理あると思われた。とはいえ、そのこと自体が今日本の抱える最大の問題のように思える。経済は必要なものだが、決して一番に重要なものではない。人にはまずは心が必要であり、社会に温かさがなければ、人々は不幸であり、物は潤沢にあっても決して豊かとはいえない。

熱狂のまるでない選挙であった。期間中、どこもかしこも冷ややかな空気が流れていた。親しいベテラン代議士いわく、「こんなに追い風も逆風もない選挙は初めてだ」。実際その通りで、52%という歴史的な低投票率を記録した。どうせ投票に行っても何も変わらない。入れたい政治家、政党がない。それが正直な民意であったろう。

その低投票率に小選挙区のマジックが手伝って(オセロゲームのごとく、51%で100%の獲得が可能となる)、全体の僅かに20%程度の得票で3分の2の議席獲得となった。数の上では圧勝とはいえ、その現実をどうか謙虚に受け止めてほしいと願う。選挙の時に掲げられたのは経済のみ。だが、いざ勝利した暁には「集団的自衛権(や特定秘密保護法案)への信任を得られた」旨述べられたことに、悔しがっていた人が私の周りにも結構いる。

支持した者も決して、盤石な支持者ばかりではないのだ。不信感はある、かといえどの野党も信頼できないからと、消去法的に選んだ人も実際私の周りにも本当に多かった。今回、共産党が躍進した。これは、不甲斐ない野党しかない中、主張がぶれない共産党に投票するという、善良な国民のささやかな抵抗であったように思える。

残念ながら、政界エリートの中に今や反知性主義が蔓延している感がしてならない。客観的、実証的な事実に基づくことなく、ひたすら自分たちが正しいと信じる道を進む。これは国民にとって不幸なことであろう。だが、この政治形態も結局は国民が作り上げてきてしまったものなのだから、今後は皆がそれぞれ、諦めることなく、愚直に声を挙げていくことが必要であろう。人は人のために生きている。ささやかだけれども自分のなすべきことをしていきたいと思う。

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