大相撲夏場所9日目に行ってきました

昨日注目の取組みは,結び前の一番,遠藤(西)対白鵬(東)。懸賞は約25本並んだ(もちろんこの日最多である)。立ち合い互いに真っ向から当たったと思ったら,遠藤はあっという間にそのまま西の土俵下に落ちていた。電車道,わずかに1秒? 後で知ったのだが,左を指された遠藤,巻き替えようとして体が浮いた瞬間を力で押し出され為す術もなかったらしい。遠藤が弱いというより,白鵬が強いのだ。それも圧倒的な強さ。身体的にも10センチ高いし,10キロ近く上である。

今年に入って影の薄かった稀勢の里は,今場所復調傾向にあるようだ。一昨日(対遠藤)も昨日(対嘉風)も不利な体勢から諦めずに,粘って勝ち星。全勝の白鵬に1敗で追走している。あと6日,1つ1つ慌てずしっかりと白鵬についていき,優勝決定戦に持ち込んで欲しい。あれだけ騒がれ,かつまた2桁勝利の成績をずっと収めてきた優秀な大関なのだ。一花咲かせなくては,人生もったいなさすぎる。

その稀勢の里不調の間に,準優勝・優勝と続いて,まさかの横綱昇進を果たした鶴竜。前半7日の間にすでに遠藤に金星を与え,新小結千代鳳(幕内最年少の21歳。兄千代丸23歳も共に幕内力士,鹿児島出身)にも敗れた。続く一昨日,全敗の平幕宝富士相手に立ち会い右に回り込むという奇策に出たのである! 立ち会い変化の取り口はそもそも卑怯だし(遠藤は必ず真っ正面からぶつかるのが良い),大体が横綱の取り口ではない(日馬富士が時にやる)。勝ったけれども場内もちろんブーイング。そして続く昨日の結びの一番,どうするのだろう,まさかまた立ち会い変化はないよねと見ていたら,覇気も力もなくふっと立って,あっという間に関脇栃皇山にはたき込まれた。勝負にすらなっていない。金星ではないのに座布団が飛び交っていた。

人柄は良さそうだけど闘争心のみじんも感じられない風貌を見ていると(白鵬や日馬富士とはまるで違う),可哀想にすらなってくる。大関のままでよかったのではないかと。後半戦は上位との取組である。より難しくなるが,ここは精神を強くもち,自らを信じて,一番一番新横綱に恥じない取組みを重ね,それなりの成績を残してほしいと思う。対する稀勢の里にはできうれば連続優勝をし,横綱になるときには名実ともに実力でなってほしい。でなければ魁皇のように名大関のままで,できるだけ長く続けてほしい。

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