今年のトップニュースは

マスコミが選ぶ今年のトップニュースは,オリンピック開催決定を押しのけ,特定秘密保護法案の強行採決だそうである。実体としても問題山積の法律であり,それを十分な審議もなく,国民への丁寧な説明もなく,公聴会では与党推薦の公述人ですら拙速審議はまずいと述べて結局全員が反対をする中,強行採決に踏み切ったのは歴史に残る汚点ではないだろうか。

法律制定には(新しく作るのも改正をするのも)あまねく「立法事実」が必要である。つまり,その法律を制定しないと対処できなくなったという社会状況の変遷などをいう。私が大学で教えている刑法や刑事訴訟法も昨今ずいぶんと改正されているが,もちろんすべてネット社会に対処するためだったり危険運転に対処するためだったり,あるいは被害者の地位を高めるためだったり,各種立法事実の裏付けがある。

ところが,この法律にはそれがない。国家公務員の守秘義務違反は国家公務員法に規定されていて,この15年で5件しか立件されていない。うち実刑になったのはわずか1件。守秘義務違反が非常に増え,厳罰(特定秘密保護法は懲役10年以下)に引き上げないと対処できなくなったというような状況はまるでないのである。アメリカから,秘密管理をきちんとやってもらわないと機密を渡せないとの要望はあったと思われるが,もちろんそんなことは表には出ていない。所管大臣の答弁は施行後の運用解釈に重要な意味をもつが,官房長官は出ず,出稼ぎの少子化大臣(「弁護士だから」が起用理由だなんて馬鹿げている)に二転三転,支離滅裂な答弁をさせてお茶を濁した。

臨時国会で急いでやらなければならない法案ではないことは明らかである。安倍内閣の意図としては,これを突破口にして,集団的自衛権の解釈改憲,そして本当の改憲に持っていきたいのであろう。改憲そのものに反対ではないのだが,戦争を出来る国にするのには大反対である。日本国憲法の平和主義,国民主権は死守しなければならないものである。

猪瀬知事がのらりくらり,都議会の追及も生ぬるい感じがあるが,しかしこのまま何の審議もできないままこの年が終わってよいであろうか。誰か猫の首に鈴をつけないのか。いろいろなことで鬱陶しいこの頃である。

仕事はじめ私的な事でもいろいろなことが起こる。もっと前なら結構落ち込んでいたかもしれないが,だいぶ成長したみたいである。相手があり自分だけしゃかりきになっても仕方がない場合,まあそういう人と知り合い関わりをもったのも一つの運命だと思えばずいぶんと楽である。客観的な事態は変わらなくても気の持ちようで事態はうんと変わる。周り癌になったという話をよく聞くが,免疫抵抗を落としてそれこそ癌になどならないよう,恬淡として生きたいものである。

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