総選挙が終わり,さてこれから…。

 16日の総選挙の結果は,予想されたとおり自民党が圧勝であった。定数480人中294人(解散前118人),民主党57人(同230人),維新54人,公明党31人(同21人),みんな18人(同8人)…あとは未来以下各一桁である。自民党が6割を占め,公明党を入れると67%。衆院では憲法改正に必要な3分の2を超えたわけである。

 片や民主党は現職閣僚18人のうち8人が落選するという異例の事態になった。ひとえにこの3年3か月の失策故であり,国民の失望がそれほど大きかったということだ。敵失に乗じた形の自民党はといえば,小選挙区300人のうち237人(前職100人,元職60人,新人77人)と比例代表180人のうち57人(前職5人,元職10人,新人42人)。注目すべきは,前職(つまり現職)はすべて当選したうえ,前回選挙で落選組(元職)が綺麗に復活を遂げ,おまけに名前を知られていない新人もほぼ軒並み,自民党というだけで当選したことである。郵政解散時の小泉チルドレン,前回民主躍進時の小沢ガールズに続いて素人が自民党だけで一挙に119人も出てきたわけである。ちなみに全体で見ると新人は小選挙区で93人,比例代表で91人の合計1 84人,実に4割近くを占める。

 小選挙区制度は怖い。理論的に言って,得票数51%で議席数100%を占めることもありうるからだ(つまり49%は死に票になる)。今回も,自民党の小選挙区での得票率は43%程度だったが237人,つまり79%の議席を獲得することができた。もうすでにかなり多くの人が指摘しているところだが,この選挙制度は見直すべきであろう。とくに二大政党ではなく,小政党が乱立している現状ではもっと多くが死に票となる。それも反映しているような気がするが,投票率が6割を切り戦後最低だったのが大いに気にかかる。

 参院では未だ自公連立でなければ過半数を満たさない。安定政権確保のためには来夏の参院選で自民党が議席を増やすことが必須となるが,小泉首相時の郵政解散で地滑り的勝利を収めた後の参院選で,自民党は大敗をした苦い過去がある(安倍首相時である)。この轍を二度と踏まないよう自民党には気を緩めないでやってほしい,これからが勝負であると思う。政治に国民が期待しているのは決して憲法改正といったことではなく,経済の立て直しであり雇用の安定であるということを肝に念じてほしいと思っている。世襲議員はおおむね生活の苦労とはおよそ無関係に育っている。国民目線で生活を捉えてほしいと考えるのだが,それは無理なのだろうか。

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