暑い夏、ロンドン五輪に夢中です

 いろいろ手持ち事件があるところに加え,突如刑事事件が入り,おまけに大学の採点(計550枚)もあってばたばたしていた。ようやく一息ついている。裁判所に出す書面の作成などがまだ残っているが,今週を凌げば,土曜からお休みに入る。今年は久しぶりに海外で過ごす予定,だからどうぞ何か急な仕事が入ったりしませんように!

 さて,ロンドン五輪観戦が毎日楽しい。こんなに五輪に夢中だったのは東京五輪の時以来?かもしれない。だんだん年を取ってきて,あと五輪も何回かなと思うようになったせいもあるし,日本勢が競泳初め敢闘しているせいもあるだろう。本学(帝京大学)出身の松本薫さん、57キロ級制覇,本当におめでとう!! 貴女の闘志に燃える目、勝ちを積極的に取りに行く姿勢,その結果としての金メダル。貴女の試合ぶりは日本中を感動させました。私も叶うものなら,柔道着を着て試合などしてみたいくらいである。

 どの試合を見ても世界の一流だから面白いが,私がことに好きなのは,体操と柔道,それにサッカーである。柔道はもともとは日本のお家芸ではあるけれど,今や世界200か国に普及したJUDOであり,ルールを見ていても完全に別物だといえるのではないか。綺麗な柔「道」にこだわっていては,たぶん世界では勝てない。そこにどう折り合いをつけていくか,日本の柔道界の姿勢が問われるところであろう。水泳日本の復活,体操日本も復活。内村航平の演技は息を呑むほど素晴らしい,とても人間業とは思えないほどに。

 というわけで,いつもはほとんど見ないテレビを連日つけている。時に他にチャンネルを回すと,つまらないバラエティやクイズなどが多すぎる。ドラマも安手の物が多すぎはしないか。例えば,「息もできない夏」。主演女優に興味があったのだが,ここまでリアリティを欠くストーリーを公共の電波に乗せて流してよいものだろうか。馬鹿馬鹿しくなって2回しか見ていないので,実際と違うところがあるかもしれないが,扱うのはいわゆる離婚後300日問題である。民法は,離婚の届出日から300日以内に出産した子は夫の子、つまり嫡出子であると推定する(772条2項)。つまりは出産届は自動的に前夫の戸籍に入るのである。ただし夫は嫡出否認の訴えを,出産を知ったときから1年以内に提起して,子を排除することができる(同774~777条)。これら法の趣旨は,子の地位をできるだけ幅広に,かつ早期に安定させようというものである。

  主人公の母親は夫の暴力を恐れて逃げていたところに新しい男性が出来て妊娠・出産したが,離婚後300日以内であったために出産届を出さないまま子供はもう18歳という設定である。つまり主人公には戸籍がない。母親は新しい男と結婚をして妹のほうはその男の籍に入っているので,前夫とは協議離婚か裁判離婚(調停前置)か,とにかく接触をして離婚をしたはずであるがその後も恐れて逃げているという設定らしい。

 ところで,この問題自体は決して珍しくはない。私が扱ったケースでは,夫と離婚係争中に男が出来て,妊娠し,報告を受けた私は内心のけぞった。まもなく離婚が成立するのだから,なぜ待てないのか!? 区役所の戸籍係に知り合いがいたので相談したところ,別段驚いた風もでなかった。よくある話だからだろう。結果,出産届は出さない(戸籍法により2週間以内に届けを出さないと過料の制裁はかかるが,実際には不問),前夫の間に親子関係不存在の訴えを起こして勝訴したうえ晴れて出産届を出ということで決まった(自らの戸籍に入れて真の父親に認知してもらえば、その後結婚した折には嫡出子となる)。夫との関係に肉体関係はない状況なので子の嫡出子推定は働かず,夫から嫡出否認の訴えを提起してもらわなくてもよいのである。親子関係不存在の立証は今はDNA鑑定があるので簡単だ。夫にしても自分の子供でないのが戸籍に入っては困るだけだ。この間子供は無戸籍だから,医療保険の適用はなく自費となるが,それくらいはまあ仕方がない。

 このストーリーにしても,弁護士に相談をすればそのくらいのことは回答してくれたはずである。ところが弁護士はまったくもって登場しないのである。母親も新しい夫(体よく,すでに亡くなっているという設定である)も娘が無戸籍のままで成長するのを手をこまねいて見ていたことになる。「弁護士」が欠けた話には今時,まるでリアリティがないと思う。無戸籍の娘を学校に行かせるためにその度に奔走をするくらいなら,また高い自費医療を払うくらいなら,弁護士に相談するはずだ。学校だってそう勧めたはずである。

 映画にもなって,話題になった「8月の蝉」。角田光代作なので、原作はうまく書けているのだろうとは思うが,リアリティは欠如している。犯人の目星はすぐにつき,新生児を連れた女が捜査網をかいくぐって逃げおおせるわけはないのだ。指名手配だって出回る。医療も自費である。誰だって不審に思うだろう。学校にもやれないと思っていたら,その頃には体よく捕まって,問題は回避されていた。

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